光原伸「アウターゾーン リ:ビジテッドA」(2014年2月24日第1刷発行)

 アウターゾーン…
 それは現実と空想の狭間に存在する未知の世界…
 時間も空間も確かな意味を持たない、その場所では現実を超越した、あらゆる事象が起こる…
(オープニングの文章をほぼそのまま引用しました)

・「Episode7 若返りの泉」
「熟年の夫婦に、子供達が結婚記念日にプレゼントとして、一泊二日の離島旅行をプレゼントする。
 一番の売りは「若返りの泉」と呼ばれる洞窟内の泥湯で、頭まで浸かって、数えた秒数程、若返るという話であった。
 島に到着して、翌日の午後まで夫婦水入らずで離島で過ごすこととなり、妻は早速、若返りの泉へと向かう。
 二十秒ほど、潜ってみたものの、別段、お肌に何の変化もない。
 だが、コテージで、彼女は、二十年前の自分に襲われ、拘束される。
 それは彼女のコピーで、この世に定着するためには、誰かに本人と認めてもらう必要があった。
 コピーは、亭主を誘惑するのだが…」

・「Episode8 エネミー・テリトリー」
「人間と異星人が互いに憎悪し合い、戦争を続けている惑星。
 異星人討伐隊の分隊長は、建物内にいたところ、ロケット弾を撃ち込まれ、地下室に閉じ込められる。
 彼は右肩付近を鉄パイプで貫かれ、身動きできず、また、通信機器も故障。
 更に、彼のすぐ近くに、異星人がいた。
 異星人はガレキに両足を挟まれ、彼もまた、身動きがとれない。
 銃を手にした異星人に対し、分隊長は、ピンを抜いた手榴弾を見せ、威嚇。
 異星人は銃を降ろし、どちらかの軍が救出しに来るまで、生き延びようと提案する…」

・「Episode9 リフト・オブ・ザ・デッド」
「謎のウィルスによってゾンビが大量発生した町。
 町が爆撃されるまで、生存者達はヘブンズ・タワー屋上のヘリポートへと向かわねばならない。
 そこに、父娘、警官、男性三人が集まる。
 正面はゾンビ達に突破され、裏口から、彼らはエレベーターに乗り込もうとする。
 しかし、警官の男は、自分が警官でないことを父親に見抜かれそうになったことから、彼の足を撃ち、その場に置き去りにする。
 ミザリィの案内で、父親以外の彼らはエレベーターに乗り込むも、屋上にゾンビが侵入したことから、エレベーターはその場にストップ。
 待機することとなるが、男性のうち、一人がウイルスに感染して、ゾンビ化してしまう。
 彼らに生き延びるチャンスはあるのだろうか…?」

・「Episode10 誘拐犯」
「二人組の男が、スイミング・スクール帰りの金持ちの少女を誘拐する。
 だが、連れ帰って、覆面を取ってみると、目的の少女ではなく、「みぃこ」と名乗る、おませな少女であった。
 この手違いに誘拐犯達は大焦り。
 誘拐犯の一人は、前科のある男性で、病気の娘のために、マフィアから金を借り、その返済のために、娘婿と協力して、誘拐をした。
 しかも、娘は人質に取られており、誘拐した少女と交換する手はずとなっていた。
 とりあえず、誘拐犯達は、「みぃこ」を目的の少女と偽って、マフィアのボスと取引をしようとするのだが…」

・「Episode11 冷たい棺」
「遠い未来、地球に住めなくなった人類は、遥か遠い植民星へ移住を開始する。
 数百人を乗せた先発隊の宇宙船が出発するが、星に到着するまで150年もの歳月がかかり、その間、乗員は全て冷凍睡眠装置で眠りに就くこととなる。
 だが、五十年経った時、エリカという少女が冷凍睡眠から覚める。
 彼女が宇宙船をさまよっていると、冷凍睡眠装置技師のネビルという男に呼びかけられる。
 彼によると、彼女の装置に不具合があり、その対応のために、彼は24時間前に起こされたという。
 ネビルはエリカに下心を丸出しにして、冷凍睡眠に戻さないと脅迫し、肉体関係を強要。
 エリカは、人工知能のミザリィに救いを求めるが、エリカには何の権限もなく、どうにもならない。
 仕方なくネビルに抱かれようとするが、彼には恐ろしい計画があった…」

・「Episode12 痛み」
「教育学部の羽島真紗美は、学生課のミザリィから、好条件の家庭教師のバイトを紹介される。
 勤務先の家は郊外にあり、父子家庭。相手は男子中学生であった。
 好条件のため、家庭に問題があるように思えたが、父親も、その息子の聖人も全く普通。
 ただ、学校に行かない理由や家庭の事情を決して詮索しないよう、父親から釘を刺される。
 順調に真紗美は家庭教師をこなしていくが、ある日、聖人の身体に多くの傷があるのを目にする。
 聖人によると、傷は自分でつけたものと話すが、聖人は監禁状態に置かれており、真紗美は不審に思う。
 彼女は父親に聖人の身体の傷について相談するが、干渉し過ぎだと父親から首を言い渡される。
 そんな時、聖人が二人の前に現れ、アイスピックで自分の手の甲に突き立てる。
 彼は、先生を救うためと、もっと体を傷つけようとするのだが…。
 彼は「痛み」によって何を成そうとしているのであろうか…?」

(「コミック特盛 新耳袋 あなたの隣の怖い話」2012年冬号、2013年春号、2013年夏号増刊「アウターゾーン スペシャル」、2013年夏号〜冬号掲載分収録)

 個人的に、感慨深かったのは「リフト・オブ・ザ・デッド」。
 作品解説にて「ゾンビ(テレビ放映版)」がアツく語られている通り、「ゾンビ愛」が伝わってきます。
 「誘拐犯」も心温まるストーリーで好きだなあ〜。
 しかも、ラストは「レイダース 失われた聖櫃」ですよね。(もちろん、あのラストはトラウマです!!)

2020年8月28日 ページ作成・執筆

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