光原伸「アウターゾーン リ:ビジテッドB」(2015年10月24日第1刷発行)

 アウターゾーン…
 それは現実と空想の狭間に存在する未知の世界…
 時間も空間も確かな意味を持たない、その場所では現実を超越した、あらゆる事象が起こる…
(オープニングの文章をほぼそのまま引用しました)

・「Episode13 プリズナーM」
「家も家族も仕事もない、流れ者の男性。
 彼はヒッチハイクしたのは、ミザリィの運転する車であった。
 寂れた田舎町を通過する際、車はスピード超過で、パトカーに捕まり、更にミザリーは無免許運転。
 ヒッチハイクの男性も拘束され、挙句の果てに、冤罪を着せられ、二人共、クラウド・ライブス刑務所に送られる。
 刑務所長によると、ここは「実験的に作られた最先端の夢の刑務所」とのことで、ミザリィは特別監房に送られる。
 そこは所長のお気に入りの若い女性を集めた監房であった。
 ミザリィは他の女囚を圧倒し、そこの牢名主となる。
 所長は彼女を危険視して、様々な手段を用いて、彼女を屈服させようとするも、全く効果がない。
 最後の手段として、彼女を男子棟へと連れて行くのだが…」

・「Episode14 老婆の館」
「貧乏な大学院生の青年は、バイト先が潰れて、金に困っていた。
 そんな時、ガラの悪そうな男から、簡単な仕事で二万円の話を持ち掛けられる。
 仕事は、丘の上の邸に行き、老婆から500万円を受け取ること。
 胡散臭い話と思いつつも、邸を訪れると、車椅子の老婆は彼を息子のヨシカズと勘違いしていた。
 老婆に言われ、彼は邸に泊まることとなるのだが、家政婦のミザリィに詐欺師の一味だと見抜かれる。
 実際、老婆の息子の写真は、彼とも、仕事を持ち掛けていた男とも違い、ようやくこれが詐欺だと確信する。
 彼はバレる前に、邸から逃げ出そうとするのだが…」

・「Episode15 コックリさんとみぃこ」
「中学一年生の黒香華(くろかみ)ミナは、コックリさんが得意な少女。
 彼女は、コックリさんで他人を意のままに操ることを覚え、将来、霊媒師になろうと考える。
 そんな彼女の前に、「みぃこ」という転校生が現れる。
 彼女は、オカルト好きで、コックリさんでミナと仲良くなりたいらしい。
 放課後の教室、アユミという少女を交えた三人でコックリさんを行う。
 ミナは、うまく十円玉を動かして、優位に立とうとするのだが…」

・「Episode16 みぃこのスケバン入門」
「前回と同じ中学校。
 黒香華ミナはトイレでスケバンの咲本ミキに絡まれ、二万円を要求される。
 その話を聞いた、みぃなはミナを助けると言うが、持ってきたのは手描きのお札。
 そこで、みぃなは咲本ミキの舎弟となって、二万円分働くと言うのだが…」

・「Episode17 セールス・ガール」
「ある家にやって来たのは、押し売りのミザリィ。
 主人は当惑するものの、ミザリィは何か買ってくれるまでは動かない。
 しかも、商品は、幸運をもたらす「干し首」や、「黒帽子」という妖精のミイラとか、おかしなものばかり。
 彼女を厄介払いするため、主人は財布の有り金と引き換えに、干し首を買う。
 実は、その家では、凶悪犯が妻を人質にして、主人の様子を窺っていた。
 幸運の干し首は凶悪犯に助言をして、夫婦は窮地に陥るのだが…」

・「Episode18 おとぎ話」
「母子家庭で、孤独な少女、綾愛(あやめ)。
 綾愛は公園でミザリィと出会い、手作りの魔法の絵本「Story of Iris」をもらう。
 内容は面白かったが、最後のページが破られていて、結末がわからない。
 あと、本の中に、六角形の花壇が出てくることにも興味を惹かれる。
 同じ形の花壇は公園にもあるが、そこは何の植物も育たなかった。
 物語では、その花壇の中心に花を植えた一週間後に、別世界へのゲートが開いていた。
 綾愛も、花壇にアヤメ(=アイリス)を植えてみて、その一週間後…」

(「コミック特盛 新耳袋 アトモス」2014年春号〜2015年夏号掲載分収録)

 コメディタッチの「みぃこ」(ミザリィのおチビ・バージョン)は、意外や、ギャグ・タッチでかなり面白いです。
 特に、「スケバン入門」の方はスケバン相手に、みぃこのボケが冴えていて、かなり笑いました。
 光原伸先生は「がきデカ」と「トイレット博士」が大好きとのことで、流石!!

2021年10月25日 ページ作成・執筆

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