和田慎二「愛と死の砂時計」
(1974年4月20日第1刷・1979年7月15日第13刷発行)

 収録作品

・「愛と死の砂時計」(1973年「別冊マーガレット」8月号)
「雪室杳子は、教師の保本登との結婚式を翌日に控えていた。
 しかし、保本登が、東雲学園の学園長を殺害した容疑で逮捕される。
 学園長の死体は彼のライターを握っており、また、通報した小間使いは、彼が学園長室から逃げ出したところを目撃したと証言する。
 更に、学園長は杳子との結婚に激しく反対していた。
 登は無罪を主張するも、彼のアリバイを証明できるのは「紫の服の似合う少女」だけ。
 その日、学園長に会いに行く途中、彼は、投身自殺を図った少女を助ける。
 彼女に命の大切さを懇々と説いた後、彼女を町への入り口に送った間に、学園長は何者かに殺されたと訴える。
 だが、彼の証言を裏付ける証拠がなく、彼には死刑判決が下される。
 杳子や、社長令嬢の紅崎麻矢といった生徒達は登の無罪を信じ、独自に「紫の服の似合う少女」を捜し始める。
 しかし、登の事件に関わった証言者達は次々と不審な死を遂げていく。
 死刑まで一か月、「紫の服の似合う少女」の行方は…?」

・「姉貴は年した!?」(1972年「マーガレット」8月号)
「藤森陽子(19歳)は、黒髪の美しい、和服の似合う、純日本風の美人。
 ところが、その黒髪を切り、赤く染めて、現代っ娘に突如、変身。
 しかも、女優になると宣言し、芸能プロダクションの研修所で演技の勉強を始める。
 ある時、彼女は弟の久に、自分が彼の妹で16歳だと口裏を合わせてくれるよう頼む。
 理由は、彼女が、テレビドラマ「16さい」のヒロインのオーディションを受けるためであった。
 久は通るはずがないと思っていたが、陽子はヒロインに選ばれる。
 「16さい」のチーフ・プロデューサーは石川秀明という男性で、このドラマに大張り切り。
 久は、石川秀明がごまかしの嫌いな性格と聞き、もしも、本当の年がばれたら、姉が「八つ裂き」にされると危惧する。
 姉の付き人になった彼は、この事実を隠蔽すべく、あの手この手を弄するが…」

・「パパとパイプ」(1973年「マーガレット」6月号)
「八年前、母親を亡くしてから、山崎恵子は、小説家の父と三匹の猫と暮らしていた。
 ある日、買い物から帰ってくると、家の前に、高級車が泊まり、エレガントな女性が家の方を眺めていた。
 彼女は恵子に「わたしが…あなただったかもしれないのよ」と話し、立ち去る。
 その後、父親の連載が全て、打ち切られる。
 出版社に圧力がかかったらしく、恵子が抗議に行くと、先日の女性が現れる。
 恵子の父親をボイコットさせた張本人は、彼女であった。
 彼女は恵子に、海泡石のパイプについて尋ねる。
 このパイプは恵子の父親が大切にしていたものだが、それにはその女性の母親からのプレゼントであった。
 恵子は、父親が、死んだ母親以外の女性を想っていることにショックを受けるのだが…」

・「パパ!」(1971年「別冊マーガレット」9月号)
「山崎恵子は、写真部の部長と喫茶店でお茶をしていた時、父親が見知らぬ女性といるところを目撃する。
 その女性は、恵子が小さな時、アルバムで見た、父親の初恋の女性であった。
 父親が母親以外の女性と付き合うことにショックを受け、恵子は夜更けに家をとび出してしまう。
 その際、彼女は、不良達に捕まってしまうのだが…」

 「愛と死の砂時計」は、ウィリアム・アイリッシュの名作「幻の女」(注1)をアレンジした作品です。
 おおもとのストーリーは一緒ではありますが、途中で、犯人が明らかになるのが、ちょっと新鮮でした。
 犯人はもちろん、あの人で、ちゃんと「和田慎二風悪女」の顔になります。
 残りの三編は、ユーモアを交えた少女漫画風の短編です。

・注1
 わたなべまさこ先生によるコミカライズもあります。

2021年6月16日 ページ作成・執筆

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