Dr.イム
「死ノ鳥@」(2018年9月9日第1刷発行)
「死ノ鳥A」(2019年1月9日第1刷発行)
「死ノ鳥B」(2019年5月7日第1刷発行)


単行本@(「週刊少年ジャンプ+」2018年22〜24号、26号、28号、30号、32号)
・「01 天使と鴉」
 明星九郎(25歳)は服役囚。
 福岡から東京へ移送途中、飛行機で彼は妹にそっくりな少女を目にする。
 少女には何故か屈強なボディガードが付いていた。
 ところが、その飛行機がハイジャックさせる。
 更に、飛行機の周囲には鴉の群れが寄り集まってきて、どう考えても普通でない。
 少女を救うため、九郎はハイジャック犯に立ち向かい、操縦室に向かうが…。
・「02 百舌」
 気が付くと、九郎は山中にいた。
 彼を助けてくれたのはあの少女で、名はトキ、そして、彼女の手足は鳥であった。
 二人が自己紹介をしていると、悲鳴が聞こえてくる。
 見ると、キャンプ客の若い男女が巨大な百舌(もとは恐らく、幼稚園児)に襲われていた。
 見通しのよい道では、餌食になるだけなので、九郎は森の中に彼らを導く。
 九郎たちが森の中を進むと、あちらこちらの枝に小動物が突き刺さっている。
 枝に刺さっているのは小動物だけでなく…。
・「03 化物」
 百舌たちの襲撃。
 九郎はトキをかばいつつ、犠牲者の横をすり抜け、駆ける。
 彼の後を娘が二人付いて来るが、一人が足を滑らせて転ぶ。
 九郎は彼女を見捨てようとするが、トキは彼女を助けるようお願いする。
 そして、トキは彼女を救うために、囮になるのだが…。
・「04 害鳥」
 九郎、トキ、そして、キャンプ客の唯一の生き残りである日向春(ひなた・はる)はロープウェイで町に降りる。
 しかし、町は壊滅状態であった。
 多聞第一高等学校が緊急指定避難場所と知り、三人はそこを訪れる。
 そこの体育館には鳥に襲われたケガ人が集められていた。
 九郎は自分は犯罪者のため、トキとは長くいられないと考え、彼女をそこの老婆に預ける。
 九郎と春は身体検査の後、本館校舎内の教室へと移されるのだが…。
・「05 異変」
 避難場所の責任者、浅野田医師はある計画を着々と進めていた。
 九郎はその計画に気付き、体育館へと向かう。
 その中では患者達が次々と鳥化しつつあった。
 彼は浅野田医師から何が起こっているのか教えられる。
 今、日本では鳥を媒介としたウイルスが蔓延しており、感染者は鳥化し、また他の人間を襲うのであった。
 それでも、九郎はトキを見捨てることができない。
 何故なら、トキには唯一の肉親で、謎の失踪を遂げた妹の面影があるからであった…。
・「06 心中」
 炎に包まれる体育館。
 鳥人間達の妨害を受けながらも、九郎はトキの姿を捜す。
 ようやく再開するも、浅野田により出口が塞がれていた…。
・「07 啓示」
 体育館に現れた巨大な鳥、鵺。
 九郎は逃げ惑うしか方法がなかったが、どうにか足止めに成功。
 その後、彼は車の中で目を覚ます。
 運転しているのは春で、生存者は浅野田の指示の下、隣町に向かっていた。
 九郎は「スケアクロウ」と名乗る人物と電話で話したことを思い出す。
 「スケアクロウ」は彼にトキを東京へと連れて来るよう頼む…。

単行本A(「週刊少年ジャンプ+」2018年35号、37号、39号、41号、43号、45号、47号、49号)
・「08 選択」
 九郎たちは高台のロッジで浅野田と合流する。
 しかし、ロッジには食料も備品もなく、一晩滞在した後、隣町へと移動が決まる。
 一方、浅野田はトキが理性を保っていることから、彼女を診察する。
 どうやら彼女はあの姿以外、異常はないようだが…。
 体育館の件で浅野田を非難する九郎に、浅野田が突き付けた言葉とは…?
・「09 啄木鳥」
 その夜、トキが肺炎にかかる。
 薬を手に入れるため、九郎、浅野田、ロッジの主人の東、小さな娘のいる田宮の四人は町の郊外にある大病院へと向かう。
 この病院は浅野田が勤めていた場所であった。
 荒れ果てた病院の中は血まみれで、眼球を抉られた死体が幾つも転がっている。
 浅野田の案内で、彼らは二階にある薬の保管庫を目指す。
 だが、二階に上がると、「コツコツ」という音が近づいて来る。
 様子を見ながら、保管庫への通路に曲がると、壁には目の絵がびっしりと描かれていた。
 その絵の中には…?
 そして、通路の向こうに…。
・「10 解剖」
 四人はナース・ステーションに逃げ込む。
 このあたりはキツツキ男の縄張りらしく、保管庫のある部屋のあたりをウロウロしている。
 キツツキ男を倒すしかないが、キツツキ男の頭部は頑丈な構造で、多少、殴ったぐらいではびくともしない。
 キツツキ男の弱点を探っていると、東があることを思い出す。
 それをもとに作戦を立てるのだが…。
・「11 感染」
 四人は薬の保管庫で薬を回収する。
 そこに巨大なキツツキの化け物が現れる。
 逃げる途中、田宮が出口を目前にして足を取られてしまう。
 九郎は彼を助けるのだが…。
 一方、病院を目指し、トキは急いでいた。
 彼女にはある目的があり、それは九郎の身体の異変と関係があるのだが…。
・「12 オリーブの枝」
 明らかになった意外な事実。
 ロッジに戻った後、浅野田はトキを尋問する。
 その時、日向春のスマホに連絡が入る。
 相手はスケアクロウであった。
 彼はトキを「天使」「この世界を救う鍵を持つ奇跡の子」と呼ぶ。
 彼女が「救済の天使」たる所以はその「抗体」にあった…。
・「13 梟」
 九郎、浅野田、日向春、トキは車で東京に向かう。
 しかし、日本中、鳥の襲撃を受けており、思うようには進まない。
 彼らは食料確保と水路での移動を探るため、大阪市内に乗り入れる。
 新世界あたりで車がパンクし、春がタイヤを見ていると、巨大な梟が彼女を襲う。
 だが、その梟を何者かがマシンガンで射殺。
 九郎が取り押さえると、そいつは朱鳳会のボスの次男、鮫島桔平であった。
 その場に桔平の世話役の九条も現れる。
 実は、九郎は元・警察官で、九条とは顔馴染みであった。
 鮫島桔平の根城で、九条は九郎たちに大阪の現状について話す。
 大阪の夜は梟たちによって支配されていた…。
・「14 夜戦」
 夜、梟たちの跋扈する時間。
 鮫島桔平は一人外に出ていく。
 彼の目的は梟たちの頭領となった兄の祐介を殺すことであった。
 九郎と九条も武装し、彼の援護に出かける。
 彼らは夜明けまで生き残ることができるのであろうか…?
・「番外編」
 病院から戻った後のロッジでの一コマ。
・「00 前日譚 ビフォア・ザ・バードインフェルノ」
 バードインフェルノが起こる前の登場人物たちの普段の生活の一コマ。

単行本B(「週刊少年ジャンプ+」2018年51号、2019年3号、5号、7号、9号、11号、13号、15号)
・「15 あの日」
 九郎たちは無事であったが、建物に梟が侵入。
 日向春はトキをかばい、大阪SFT(スカイ・フォール・タワー)に連れ去られる。
 そこは梟たちの巣で、何人もの人が閉じ込められており、生きて帰って来た者はいない。
 浅野田は人類の未来を考え、彼女をあきらめようと九郎に提案する。
 昼、九郎は鮫島桔平から彼の兄の佑介の話を聞く。
 九郎と桔平の出した結論とは…?
・「16 巣窟」
 日向春を救出するため、九郎・桔平・九条・トキは大阪SFTに向かう。
 作戦は単純で、救急車を調達した浅野田が遠くでサイレンを鳴らし、梟たちを引き付けている間に、九郎たちがSFTに乗り込むというものであった。
 階段は壊されており、春のいる展望台に上がるにはエレベーターしかない。
 展望台で彼らを待ち受けているものとは…?
 一方、春は展望台で怯えていた。
 連れてこられた人々は次々と連れて行かれ、梟の餌食となる。
 逃げようにも、エレベーターの前には巨大な梟の化物が鎮座していた。
 そんな時、スマホにスケアクロウから着信がある。
 スケアクロウは彼女に梟の弱点を教えるのだが…。
・「17 家族」
 展望台の天井に巣くう巨大な梟の雛たち。
 雛に生きた人間を与えていたのは、桔平の兄であった。
 桔平はその兄の姿に普通の家族を夢見ていた兄の面影を見出し、また、絶望する。
 彼は兄に引導を渡すためにある覚悟を決めていた。
 しかし、九郎が彼を引き留め、佑介と対峙する。
 その頃、巨大な鵺に乗った少女が大阪SFTに近づきつつあった…。
・「18 弔い」
 九郎は佑介と一対一で戦う。
 彼に言われ、トキは桔平を連れて、SFTから脱出。
 展望台には九条と日向春が残されているのだが…。
・「19 追憶」
 SFTの展望台に突っ込んできた鵺。
 それを操る少女は九郎を「お兄ちゃん」と呼ぶ。
 そして、彼女と九郎の過去が明らかとなる…。
・「20 偽物」
 その少女の名は明星那岐。
 彼女こそがこのパンデミックの元凶であった。
 彼女の目的は二つ。
 一つは九郎を捜し出すこと。
 もう一つは「偽物」を抹殺すること。
 那岐とトキの関係とは…?
・「21 3つ目」
 身体は変異が進む中、彼は那岐を選ぶか、トキを選ぶか選択を迫られる。
 これにより人類の運命は決まるが、那岐かトキのいずれかを自らの手で葬らねばならない。
 彼はその選択以外の三つ目の選択を模索する。
 彼が出した答えとは…?
・「22 目覚め」
 十年後、東京。
 鳥類災害追悼式に皆が集まる。
 明星トキは開幕の式辞を担当だったが、スケアクロウからのメールを見て、式典をすっぽかす。
 彼女の向かった先には…。

 「THE BIRDS IS COMING」なパニック・ホラーです。
 未知のウイルスにより人々が鳥人間になっていくという内容で、テーマは意欲的だとは思うのですが、ボリューム不足は否めません。
 でも、途中で収拾がつかなくなったというよりも、表現したいテーマはあったのだけど、ストーリーをうまく膨らませることができなかったという感じで、ストーリー自体はしっかりしております。
 三巻からが急ぎ足で、若干…いや、かなり強引なところもありますが、そこまで大きな矛盾もなく、きれいにまとまっていると思います。(ちょっぴり「デビルマン」が入ってる気が…。)
 いろいろと惜しいと感じる点はあるものの、なかなかの力作ではないでしょうか?

2023年9月1・2・8・9日 ページ作成・執筆

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