うぐいす祥子「フロイトシュテインの双子」(2014年8月25日第1刷発行)
・「フロイトシュテインの双子 第1話」(「アオハル」0号・2011年1/3号)
「桜井健司は、教師を目指す、東都大学の学生。
彼は中学二年生の双子の兄妹の家庭教師を勤めることとなる。
双子の名は男の方がカケルで、女の方がミチル。
可愛らしい外見とは対照的に、この双子には悪魔的なところがあった。
ある日、大学食堂で、健司は奇怪な発作に襲われる。
それは双子の仕業で、呪いの人形によるものであった。
重傷を負った彼は家庭教師をやめようと考えるも、双子が、彼が憧れている遠野の人形を作ったことを知り…」
・「フロイトシュテインの双子 第2話」(「アオハル」8/8号 2013年)
「とある事情で、健司はフロイトシュテイン邸に住み込むこととなる。
双子の家庭教師は続けていたが、最近、双子は夜更かしが過ぎるらしく、授業中に居眠りばかり。
一方で、双子は何やら、健司の命を狙っているようであった。
双子の目的とは…?」
・「フロイトシュテインの双子 第3話」(描き下ろし)
「憧れの遠野に映画に誘われ、健司は浮かれまくり。
その様子が双子には気に入らない。
更に、遠野にも双子は不審を抱く。
デート当日、双子は健司達の映画館についていく。
映画はゾンビ映画で、健司はホラーは苦手なのに、結構面白いと感じる。
その時、カケルの召喚した「悪魔のヒトデ」が映画館で大暴れ。
健司と遠野は逃げ出し、遠野の部屋で腰を落ち着ける。
彼女が彼に告白しようとする前に、健司は彼女に真実を打ち明けようとするのだが…」
・「森の中の家」(2013年「コミック特盛 夏号増刊」)
「山の奥で車がエンコし、三人の若者(シゲ、ハル、ヨーコ)が道を歩いていた。
民家を見つけ、電話を借りようとするが、どうも廃屋らしい。
シゲは、二階の窓に人影を見たと、家の中に入る。
でも、いくら経っても、戻って来ず、娘二人が様子を見に行くと、彼が二階から降りてくる。
この家には誰もいないと彼は話すが、不自然に流血していた。
彼の流血は止まらず、ハルが訝っていると、ヨーコもいつの間にか血まみれになっている。
ハルはことの真相に思い当たるのだが…」
・「とむらいバレンタイン」(「アオハル」sweet号・2012年3/20号)
「バレンタインデー。
ユッコは憧れの武田先輩にチョコレートを渡す。
だが、その日の夕方、彼は駅のホームから転落して、轢死する。
死体は実に凄惨なものであった。
以来、悲しみに暮れるユッコは武田先輩の幽霊を幾度となく目にする。
一月後のホワイトデー、武田からユッコに贈り物が届くのだが…」
・「星空パルス」(「アオハル」0.5号・2011年9/14号)
「宙太の父親は、母親が亡くなって以来、おかしくなる。
もともと天体観測が趣味であったが、庭に奇妙なアンテナを立て、エイリアンからのメッセージを受信しようとしていた。
ある夜、父親がエイリアンからのメッセージを受信したと話し、宙太をつれて外出する。
父親が向かったのは山の奥で、そこには女子高生の惨殺死体があった。
父親は死体をエイリアンと思い込み、家に持ち帰るのだが…」
・「恋の神様」(「アオハル」0.99号・2013年3/10号)
「マリ子は恋人の佐山に今晩、遊びに来ないかと誘われる。
彼の家はすごいお邸で、今夜はここに二人きり。
二人がお互いへの想いを打ち明けた後、佐山は彼女にある秘密を話す。
彼女の恋の行方は…?」
・「フロイトシュテインの双子 その後」(描き下ろし)
「カケルとミチルも高校生。(ついでに、健司も大学を卒業し、教職を得る。)
二人は成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗で、学校中の人気者なのだが…」
・「とむらいバレンタイン 番外編」
「バレンタインデー以前。
ユッコは、バレンタインデーに武田先輩に告白するべく、計画を立てるのだが、あまりにも綿密すぎて…」
「アオハル」という雑誌に掲載された、奇才うぐいす祥子先生の傑作短編集です。
あとがきによると、『「アオハル」という雑誌は「青春」と「ヒロイン」をテーマにしたとても爽やか且つお洒落な雑誌』で、読者から『苦情や批判が数多く寄せられた』とのことです。
読者の奴ら、何もわかっていないね!!
「青春」とか「ヒロイン」とかそんな薄っぺらいものでコーティングされた漫画なんかよりも、うぐいす祥子先生の奇想炸裂な漫画の方が遥かに面白いに決まってるだろ!!
当時の読者にものの価値を見抜く目があれば、「フロイトシュテインの双子」がシリーズ化されたかもしれず、残念で仕方ありません。
とは言うものの、作品の内容が雑誌の目指すところとは幾光年も乖離していることに関しては、まあ、認めざるを得ないのであります…。
ちなみに、個人的なお気に入りは「電波+惨殺死体+エイリアン+萌え」という異種配合もいいところな「星空パルス」です。
2023年1月19日/2月21日 ページ作成・執筆