柿崎普美「白い手の殺意」(1980年12月25日第1刷発行・1984年12月15日第17刷発行)

「山口尚美は、活発な高校一年生。
 ある日を境に、中島菜美という、美しく大人しい女生徒が教室に現れる。
 何故か、クラスメートは尚美以外、菜美のことを見知っていて、普通に接している。
 しかも、ずっと前から、尚美の後ろの席に座っていたと言う。
 どこかで見覚えがあるものの、中島菜美についての記憶がない尚美は、新聞部の高木という男子生徒に調査を依頼。
 しかし、菜美と会った後、高木は発作的に教室の窓から飛び降り自殺してしまう。
 尚美が教室から走り去る菜美を追うと、階段の途中で、中島菜美はその本性を現す。
 尚美が産まれる時、尚美の母親は出血多量で輸血をしたのだが、それで輸血用の血液が足りなくなり、死亡した妊婦がいた。
 その妊婦のお腹の中にいた子供が、中島菜美だったのだ。
 本来、生きるべきなのは自分なのだと、菜美は尚美の身体を奪おうとする。
 そして、尚美の身に恐ろしい出来事が次々と起こるのだった…」
(「週刊マーガレット」昭和55年29号〜39号にて連載)

 昭和50年代半ば、菊川近子先生の傑作「赤い爪あと」、あつたゆりこ先生のカルト作「ひき裂かれた顔」に続いて発表された怪奇マンガであります。
 かつ、柿崎普美先生が描かれた、怪奇マンガ第一作目です。
 最初の作品だけあって、割と大人しい印象です。(それでも、犬のバラバラ死体等、ヘビーな描写がありますが。)
 これはショック描写を売りにするのではなく、ストーリーで読ませる作品なのであります。
 ストーリーは大きな破綻がなく、なかなかの完成度ではないでしょうか? 切ないラストもいいです。
 個人的には、佳作だと思いますので、機会があれば、読んでみてくださいませ。

2016年1月13日 ページ作成・執筆

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