岸本加奈子「闇からのリクエスト」(1987年3月10日発行)
・「闇からのリクエスト」
「高校三年生の青木ヒロコは、夜更けまで勉強していると、ラジオから妙な呪文が流れるのを耳にする。
それは、Y・OからK・Yへ捧げられた曲だった。
翌朝、ヒロコはこのことを級友に話すが、誰もこの呪文を聞いた者がいない。
と、がり勉の山下健二が突如、窓から飛び降り自殺。彼は木の枝に胸を貫かれて、死んでしまう。
彼のイニシャルはK・Y…ヒロコは胸騒ぎを覚える。
その夜、ラジオからまた謎の呪文が流れる。今度は、Y・OからR・Kへ捧げられていた。
翌日、学校の噴水の中で、手首を切って自殺している女生徒の死体が発見される。
その女生徒の死体は、スケ番の北川麗子…彼女のイニシャルはR・K。
ヒロコは偶然だと思おうとするが、同様のことがまた起きる。
ヒロコはY・Oが事件の鍵を握ると考えるが、誰も彼女の話を信じてくれない。
唯一、柴田という男子生徒が信じてくれるが、秘密を知ったヒロコに魔の手が忍び寄っていた…」
何の変哲もない、当時の普通の少女マンガの絵柄なので、ぱっと見は地味です。
が、中身は徹底してグロ!!
飛び降りて枝に串刺しになる男子生徒、硫酸で顔がドロドロに溶ける女子生徒、死人に襲われる幻覚の描写、そして、超能力対決!!
個人的には、ひばり書房の黒枠期の作品に匹敵する、なかなかの快作であります。
・「魔異夢」
「学校で不良グループに陰湿ないじめを受ける松本夕子。
ただ一人、夕子をかばってくれる久保という男子生徒に想いを寄せる。
が、不良グループによりその想いを踏みにじられ、夕子は学校の屋上から飛び降りようとする。
そんな夕子を引き止めたのが、もう一人の自分だった。
もう一人の夕子は「心の奥にたまりにたまった欲望が…自身の姿を借りて形になった」もので、「望みをかなえるために生まれて」きたのだった。
ひとりでできないことでもふたりならできると言われ、夕子は分身と共に、勉強もスポーツも切磋琢磨し合う。
実力と共に自信をつけ、夕子は積極的かつ明るくなり、久保とも付き合う仲となる。
だが、夜、夕子が寝ている時に、分身は身体から抜け出して、不良グループを虐殺。
そして、夕子の意思に関わらず、自由に行動し始める。
一方、夕子は急速に老化が進んでいることに気付くのだった…」
・「死神のいる喫茶店」
「急な雨に会い、飛び込んだ喫茶店「楡の木」。
そこはオシャレな喫茶店で、コーヒーもおいしい。
功はそこで素敵な少女、由紀と会う。
由紀を目当てに喫茶店に通うものの、いつもの常連客の老人がいない。
老人のことを由紀に尋ねると、「いってしまった」との答え。
訝る功に由紀は蒼ざめた顔でここに二度と来ないよう強く言う。
腹を立て、喫茶店を飛び出る功だが、数日後、友人達と喫茶店に行くことにする。
しかし、そこには何もなく、近所の人は誰もそんな店は知らないと言う。
聞きこむうちに、功は、喫茶店にいた老人が三日前に死んだことを聞く。しかも、老人はずっと寝たきりだった。
理不尽なことばかりで考えあぐんだ功は帰宅途中、その喫茶店を目にする。
入ると、そこには功の先輩がコーヒーを飲んでいた。
先輩にどうしてここにいるのか聞くと、もう行かないといけないとのこと。
翌日、功はその先輩が昨夜、事故死したことを聞く。
功は喫茶店から由紀を救い出すことを決意するが…」
このラストを見ると、反射的に歌いたくなるアニメ・ソングがあります。
「猛と 舞の〜 合体技だ ダッダッダーン ガ・キーン アタック!!」
カラオケでデュエットしてくれる女性の方、随時募集しております。
平成27年1月21日 ページ作成・執筆