森田まさのり
「ザシス@」(2023年4月23日第1刷発行)
「ザシスA」(2024年1月23日第1刷発行)
「ザシスB」(2024年5月22日第1刷発行)
・「第1話 案内状」(単行本@/「グランドジャンプ」2023年1号)
「山内海(24歳?)は中学校教師。
彼は恋人の八木沢珠緒(小説つばさ編集部に勤める)と食事をしている時、テレビのニュースに衝撃を受ける。
中学三年の時のクラスメート、鈴木侑己が両手両足を縛られた状態でビルの六階から突き落とされて死亡したのであった。
暗い気持ちでアパートに戻ると、田宮晋太郎が顔を出す。
田宮晋太郎も海の中学校時代の同級生で、バンド活動をしているプー太郎であった。
晋太郎は海の部屋に転がり込み、中学校時代の話題で一人だけ盛り上がる。
それは同級生の佐伯遥人がいじめにあっていたことで、海は評価主義のまかり通る自分の学校のことを考え、複雑な思いを隠せない。
数日後、珠緒は編集長からある仕事を頼まれる。
新人賞の一時選考に落ちた作家がしつこく葉書を寄こしており、その返信をメールですることだった。
ところが、予想以上に面倒臭い相手で、選考委員長の八名四十四に原稿を読ませて感想を聞かせるよう粘る。
そこで、珠緒は自分で原稿を読んでその感想を相手に送ることにする。
その小説のタイトルは「ザシス」で、いじめっ子の復讐を題材にしていた。
読み進めるうちに、珠緒は小説で書かれていることが先日の殺人事件とそっくりなことに気付く…」
・「第2話 生き地獄」(単行本@/「グランドジャンプ」2023年3号)
「海の同級生である川瀬拳士が変死する。
その死に方は「ザシス」に書かれていることと酷似していた。
また、遥人が幹事を務める同窓会の案内状が海以外のクラスメートに届いていたが、これも「ザシス」に書かれてある通りであった。
海は珠緒からその原稿を借り、自分も読んでみる。
作者は佐伯遥人。
内容は彼が鈴木侑己、川瀬拳士、重松巨(しげまつ・なお)、児玉凌に受けたいじめについて書かれており、いじめに関しては全て事実であった…」
・「第3話 生き地獄」(単行本@/「グランドジャンプ」2023年5号)
「読み進めると、いじめをした者が次々と復讐されていく。
そして、クラスメート全員に同窓会の案内を出すところで、原稿は珠緒が紛失してしまっていた。
珠緒は警察へ知らせようとするも、海は残りの原稿を捜し出すことが先と主張する。
海には人に決して知られてはいけない秘密があった…」
・「第4話 呪いの墓穴」(単行本@/「グランドジャンプ」2023年8号)
「一年前の佐伯遥人の知られざる死。
これに海は関係しており、罪の意識だけでなく、死の恐怖も加わり憔悴していく。
彼は「ザシス」の続きを切望するのだが…。
一方、珠緒の所属する編集部では本屋敷という作家に盗作疑惑がかかり、大騒動になっていた。
本屋敷は新人賞に応募した原稿のコピーを取って、それを自分の作品に盗用するという噂があり、それを聞いて珠緒は本屋敷に会いに行くのだが…」
・「第5話 次の番」(単行本A/「グランドジャンプ」2023年10号)
「遥人の呪いに怯え、海はノイローゼ寸前になる。
見かねた晋太郎と珠緒は佐伯遥人の実家を訪れ、遥人の生死を確かめようとする。
遥人の実家は代々資産家で、豪華なお邸であったが、薄汚れて、あまり管理されていなかった。
チャイムを鳴らすと、遥人の母親がスピーカーで応対し、遥人は去年の九月から行方不明だと告げる。
晋太郎が同窓会の通知書を話題に出すと…。
一方、重松巨は自分と児玉凌に同窓会の通知が届かなかったことに不安を抱いていた。
彼は鈴木と川瀬の死は遥人の復讐ではないかと凌に話すも、遥人はもう死んでいると凌は全く意に介さない。
次に狙われるのは…?」
・「第6話 次の番」(単行本A/「グランドジャンプ」2023年12号)
「海は校長に学校を休むよう命じられ、警察に自首しようと考えるも、踏ん切りがつかない。
そんな時、彼は珠緒に「つばさ文学賞」の受賞パーティに招かれる。
パーティでは審査委員長の八名四十四がスピーチをするが、八名は遥人の唯一の親友、仁志和真の父親であった。
海と珠緒は仁志和真がこの復讐劇の張本人ではないかと考え、会場で彼を捜すのだが…」
・「第7話 同窓会前夜」(単行本A/「グランドジャンプ」2023年15号)
「いよいよ明日が同窓会。
海は遅い時間にも関わらず、もう一度和真に会うことにする。
晋太郎と共に和真の家に向かっていると、その近くにパトカーが何台も停まっている。
土左エ門が小さな川から上がったというのだが…。
その頃、珠緒は本屋敷のマンションの部屋の前にいた。
本屋敷は盗作問題を苦に自殺をすると大騒ぎしていて…」
・「第8話 精算」(単行本A/「グランドジャンプ」2023年17号)
「海は和真にスタンガンで襲われるが、晋太郎に助けられる。
晋太郎は和真が犯人だと言うが、海は違和感が拭えない。
一方、珠緒は必死になって本屋敷に自殺を思いとどまらせようとしていた…」
・「第9話 開宴」(単行本A/「グランドジャンプ」2023年20号)
「同窓会では何かが起こる。
それを確かめるため、海は晋太郎の代わりに自分が同窓会に出席することを決意する。
開始時間の11時を過ぎて、会場のホテルを訪れると、ホテルの従業員から同窓会の予約は入ってないと告げられる。
その頃、同窓会の参加者たちは地図で案内された場所に向かっていた。
ホテルのソファーの上に手紙があり、ホテルでの会場の都合がつかなかったため、別の場所が指定されていたのだが、その場所とは…?」
・「第10話 戦慄の代償」(単行本B/「グランドジャンプ」2024年4号)
「同窓会の参加者たちは案内された一室で遥人をいじめた連中が殺される映像を見せられる。
部屋から出ようとするも、ドアの外には獰猛な猟犬がおり、窓は板で塞がれ、携帯電話の電波も遮断されていた。
その頃、海は珠緒から連絡を受け、原稿の続きについて教えてもらう。
同窓会の真の目的とは…?」
・「第11話 これよりLIVEにて」(単行本B/「グランドジャンプ」2024年6号)
「海と晋太郎は同窓会の本当の会場に着くも、門扉は固く閉ざされていた。
海は中からかすかに漏れる悲鳴を聞き、入れる場所を探す…。
一方、会場ではモニターの映像が生中継に切り替わる。
映像には殺風景な部屋が映されており、そこに車椅子に縛り付けられた人物が殺人者によって運び込まれる。
遥人の「憎くて憎くてたまらない奴」とは…?」
・「第12話 最後の一人」(単行本B/「グランドジャンプ」2024年8号)
「海と晋太郎は屋敷に潜入する。
ある部屋で彼らは遥人の死を知った人物が他にもいたことを知る。
そして、その人物が殺害を予定していたのは六人であった。
遥人に恨まれていた六人目は誰なのであろうか…?
一方、会場のモニターでは処刑が行われようといた…」
・「第13話 告白」(単行本B/「グランドジャンプ」2024年10号)
「海は殺人者と対峙する。
殺人者の正体とは…?
そして、遥人の復讐の行方は…?」
「ザシス」は森田まさのり先生にとって初のホラー作品とのことです。(注1)
それでも、大ベテランらしく、完成度の高い、良質なホラー・ミステリーで、「いじめ」という問題に対する森田まさのり先生の思いも込められており、唸らされました。
ラストはほろ苦くはありますが、人間の良心への信頼を感じさせます。
また、残酷描写はかなりエグく(注2)、こういうことにも手抜きをしないところに好感度大です。
あと、ヒロインのヘン顔でユーモラスな雰囲気を醸し出し、陰惨なストーリーを(多分)軽くしているのも好感…これはまあ、いいか…。
機会がありましたら、森田まさのり先生にはまた怪奇マンガに挑戦していただきたいものです。
・注1
と言いましても、私、森田まさのり先生の作品、全く読んでおりません。
不良マンガも野球マンガも嫌いなので、接点がないのです。
・注2
ネズミを使った拷問の描写はゲロゲログログロなスプラッター・ホラー「テリファー 聖夜の悪夢」よりも早い?
2025年2月5〜7日 ページ作成・執筆