佐伊村司・原作/高橋構造・作画
「クルエラー・ザン・デッド・上」(2018年3月1日初版発行)
「クルエラー・ザン・デッド・下」(2018年4月1日初版発行)

 上巻
・「Episode.1 悪夢からの目覚め」
 廃墟と化したビルの一室で、女子大学生の赤城マキは目覚める。
 半裸状態で、目覚めてすぐに大量の血を吐く。
 記憶はなく、取り乱しそうになった時、部屋の隅に人の気配を感じる。
 それは怯えた少年、近藤将太であった。
 ビルの中では誰かが戦っている様子で、その何者かが彼女達がいる部屋のドアを開けるよう頼む。
 中に入ってきたのは、右足のふくらはぎの肉と左手指三本を失った、瀕死の男性であった。
 彼の説明によると、一年前、世界はオズ(本作でのゾンビの名前)によって崩壊したという。
 そして、彼女と少年は、群馬の製薬会社のワクチンによって、オズから人間に戻ったのであった…。
・「Episode.2 二人だけのデストピア」
 マキと将太は、男の車で東京を目指す。
 目的地は、難民キャンプと化した東京ドームであった。
 とは言え、道路は事故車でふさがれ、思うように進めない。
 将太の願いで、彼の家があった大宮に立ち寄るが、そこで彼らはオズの群れに襲われる…。
・「Episode.3 愚者の塔」
 二人は自転車で東京に向かう。
 これなら障害物も問題にならず、日中に着くかと思われたが、突如現れたトラックに将太が轢かれてしまう。
 車からは粗暴な男達が乗っており、マキと将太はトラック後部の牢屋に入れられる。
 牢屋の中には勇吾という青年がいた。
 彼は東京ドームから逃げてきたらしい。
 トラックはエルズタワーに到着、ここはコミュニティ「パラダイス」の本拠地であった。
 勇吾は、彼らの一人を人質にとるも、人質もろとも銃撃され、タワーの外に残される。
 タワーの中に連れ込まれたマキと将太の運命は…?
 そして、勇吾はタワーへの入り口を探るのだが…。
・「Episode.4 エクソダス」
 一階からオズが侵入し、エルズタワーは大混乱。
 その混乱に乗じ、「ライジング・サン」という政府軍の部隊がタワーを制圧する。
 一方、マキは、オズ化した勇吾を救うべく、彼にワクチンを注射する…。
・「Episode.0 審判の日」(前日譚)
 20XX年。
 オズで世界が崩壊する前日。
 自衛隊員達は…?
 避難民達は…?
 そして、自衛隊の上層部では…?

 下巻
・「Episode.5 退廃の町 東五」
 マキ、将太、勇吾、「パラダイス」の幹部の一人だった三浦は東京ドームへ到着する。
 そこは今では「東京第五避難待機基地」、通称、「東五」を呼ばれていた。
 彼らはワクチンを届けに来たと伝えるも、信じてもらえず、職員達から冷遇を受ける。
 そこに、東五の統括をする島本という男が現れる。
 マキは彼に連れ去られ、勇吾は逃亡者として重労働区送りとなり、残りの二人は居住区に送られる。
 そこで、将太と三浦は、甲斐という青年と出会うのだが…。
・「Episode.6 ようこそクソったれの世界へ」
 東五は、誰もがその日の暮らしに精いっぱいで、弱肉強食で荒廃しきった世界であった。
 将太は、子供達のリーダーであるキョウと出会い、親交を深めていく。
 一方、重労働区の勇吾に、友人の哲男が面会に来る。
 鉄男によると、クーデターの計画があるようなのだが…。
・「Episode.7 狂気の宴」
 マキは検査の結果、妊娠四ヶ月であることを告げられる。
 だが、誰が、いつ、彼女を妊娠させたのかはわからない。
 彼女の生活は島本が保証してくれるものの、東五の上流階級のパーティに参加した際に、マキは倫理が地に落ちた様を目の当たりにする…。
・「Episode.8 生めよ、増えよ、地に満ちよ」
 ワクチン開発を記念して、祝賀祭が行われる。
 政府は居住区の人々に、ライフラインである水を大盤振舞するが、それは恐ろしい罠であった。
 同時に、「赤い九月」によるテロが勃発。
 マキ、将太、勇吾…彼らがとった行動とは…?
・「Episode.9 日はまた昇る」
 マキは、中央塔を制圧しようとする「赤い九月」に手を貸し、島本と対決する。
 一方、将太は、オズのレイジウイルスに感染したキョウを救うため、マキのもとに向かうのだが…。
 全てが灰燼に帰した後…。

 巷で流行の「ゾンビもの」ですが、本作は説明不足な点が目立ちます。
 ゾンビの発生理由が不明なのは許せても、「台場」ってどういう所? マキを妊娠させた相手は? 勇吾と哲男の関係は?とわからないことばかり。
 結局、上下巻の二冊で扱うには、壮大過ぎるなストーリーで、詰め込み過ぎになったのも致し方ないことだったのでしょう。
 あと、「ランド・オブ・ザ・デッド」等、ゾンビ映画の影響が強いのかもしれませんが、最近のゾンビ映画、全く観ておりませんので、わかりません…。(注1)

・注1
 2000年以降のゾンビ映画はほとんど観てない気がします。
 ジョージ・A・ロメロ「ランド・オブ・ザ・デッド」すら観ておりません…。
 ちなみに、小中学校の時は、「ゾンビ(Dawn of the dead)」に夢中で、廉価版のビデオ・テープが壊れるぐらい、観まくりましたが、最近は、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」(1968年版)ばかり観ております。
 あの無機質なモノクロ映像に、荒んだ内容が凄まじく合って、めちゃくちゃ良いんですよね〜。

2022年1月5・6日 ページ作成・執筆

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