はざまもり「うしろの闇」(1993年2月16日第1刷発行)

 収録作品

・「サイレント・グリーン」
「智美は、高明という画家の妻。
 彼女は、夫がモデルと浮気していると思い込み、ノイローゼ気味になる。
 その療養のため、夫婦は、自然豊かな屋敷に移り住む。
 しかし、彼女は、夜中に人の歩く物音を聞いたり、地下から女の声を聞いたりして、不安は増すばかり。
 この屋敷では、前の持ち主の社長が誰かに刺されて、新聞沙汰になったらしいが、詳しいことはわからない。
 更に、前のモデルの出現や、夫が嘘をついて、町にアトリエを構えているということが重なり、智美は夫を刃物で傷つけてしまう。
 病院に行くと、彼女の妊娠が判明し、今までのことはつわりによる不調のせいと思われたが…」

・「うしろの闇」
「夢破れたモデル、留花。
 ある夜、やけっぱちの彼女はヤンキー達に追われる破目となり、ビルの一室に逃げ込む。
 そこは、一軒のバーで、女主人と、男の客が二人。
 彼らは人生の敗残者で、寂しい者同士でパーティをしていたのであった。
 女主人から留花は「幸せつぶし」のゲームに誘われる。
 それは、世の中の幸せそうな人に不幸をプレゼントするというものであった。
 ターゲットは、世間で最も注目されている建築家の篠塚仁。
 留花は、彼が、ライバルのモデル、森尾ほずみと最近、結婚したと聞いて、その誘いを受ける。
 篠塚仁は女たらしということで、留花が接近すると、簡単にベッド・インできる。
 あるプロジェクトの設計図を盗み出す機会を窺いながら、彼と交際するうちに、彼女は彼に惹かれていくのだが…」

・「夏の家で待ってる」
「栗原和音は未婚の母。子供は雄太(3歳)。
 子供を産んだ時、実家から縁を切られ、仕事を掛け持ちして、ハードな日々を送っていた。
 ある日、彼女に手紙が届く。
 手紙は、恋人だった貴明からで、「夏の家」でもう一度会いたいという内容であった。
 彼女が学生の頃、友人達と別荘を借りて、毎年、夏を過ごしていた。
 貴明は和音と佳美に二股をかけていたが、三年前の夏、佳美が手首を切って自殺未遂をした為、彼は彼女を選ぶ。
 一方、妊娠していた和音は未婚の母となったのであった。
 「夏の家」を和音は訪れ、二人は再会する。
 貴明は和音への未練をいまだに抱き、佳美とはうまく行っていなかった。
 子供でもいれば、と思うものの、佳美は子供を産めない身体。
 そこで、貴明は、和音の子供を引き取りたいと話す。
 だが、雄太を預けている託児所から、見知らぬ女が雄太を連れ去ったと連絡が入り…」

・「殺意の階段」
「若い女性に大人気のエッセイスト、桜沢たまき(26歳)。
 夫は新進の建築家であったが、相模湖畔で刺殺体となって発見される。
 そのニュースの最中、出版社の担当が彼女のもとに挨拶に来る。
 新しい担当は岡田という男であったが、彼は、彼女の過去…田所由紀子のことを知っていた。
 彼女の本当の素顔とは…?」

2021年10月6日 ページ作成・執筆

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