永井豪「永井豪ホラー短編集 髑髏の館」(1995年4月10日発行)

 収録作品

・「RED STRING」(「週刊ヤングジャンプ」1990年3月8日号)
「高村亘は足を骨折して、入院中。
 彼の隣の病室には、彼と同年代の女の子がおり、心臓の病気で重体らしい。
 夜、彼が目を覚ますと、左手小指に赤い糸が結ばれている。
 松葉杖を突きつつ、その糸を辿っていくと、そこは集中治療室。
 その中では、若い娘が死神に連れ去られようとしていた。
 赤い糸は少女の小指に結び付けられていたため、彼も引っ張られて、あの世へと飛んでいく。
 このままでは死んでしまうと、赤い糸をたぐり、死神を攻撃するのだが…」

・「鬼ごっこ」(「小説中公」1993年1月号)
「夕方、ケン太は帰ろうとした時、ガキンチョのグループに絡まれる。
 彼らは彼が東京から来たのも、家のテレビがカラーなのも気に入らない。
 彼らは「かくれんぼ」をすると言うが、彼ら全員が鬼で、隠れるのはケン太一人。
 しかも、一時間以内に見つかったら、リンチにすると脅される。
 十秒の間にケン太は隠れ場所を見つけると、ガキンチョ達は次々と鬼に変化して…」

・「鬼婚式」(「小説中公」1993年2、3月号)
「紀子は唯一の肉親の母親を亡くし、途方に暮れていた時、貴明という青年と出会う。
 彼の心の温かさに触れ、彼女は彼と結婚。
 彼の故郷は豪雪地帯の人里離れた村であった。
 紀子は村の人々に喜んで迎えられ、貴明の実家で結婚式を挙げる。
 新婦のお色直しの時間になるが、いつまで経っても彼女を迎えに来ない。
 紀子が式場に出ると、そこはもぬけの殻であった。
 その時、電気が消え、太鼓の音が鳴り響く。
 そして、彼女の目の前に松明を持った鬼の姿が…。
 「鬼の村」とは一体…?」

・「遺品」(高円寺博・原作/1977年「女性セブン」8月31日号)
「最近、美佐の夫の高瀬修三の様子がおかしい。
 高瀬は萩本司の遺品であるリュックから声が聞こえると怯えていた。
 萩本司は美佐の元・恋人で、高瀬とは山岳仲間で大の親友であったが、山で遭難して亡くなる。
 高瀬は彼の死を嘆き悲しむ美佐を慰めてくれ、それが愛となり、二人は結婚したのであった。
 美佐は自分が司の遺品や写真を後生大事に持っていたのが悪かったと考え、処分することに決める。
 彼女が司の写真を焼くが、その時、壁にかけていた司のリュックが落ち、ベルトが自然に外れる。
 美佐がリュックの中を覗くと、その中に広がっていた風景とは…?」

・「髑髏の館」(1979年「女性セブン」)
「香織は三条青彦と知り合い、半年後に結婚。
 二人は山奥に建つ青彦の館に向かう。
 この館は彼の曾祖父が建てたもので、古いが豪勢な屋敷であった。
 最初にここに来た時、香織は胸騒ぎが抑えられない。
 更に、夜、入浴時に電気が消え、髑髏の顔をした男にレイプされる。
 気が付くと、香織はベッドにおり、青彦は夢で片付ける。
 確かに、この屋敷には彼ら二人しかいない。
 しかし、次の夜、香織は寝室で髑髏の男にまたもやレイプされる。
 彼女は曾祖父の「あかずの間」に秘密があると考え、開けようとするのだが…。
 髑髏の男の正体は…?」

 巻末に永井豪先生による「解説」がついており、作品理解に非常に役に立ちます。
 個人的に興味深く感じたのは「遺品」と「髑髏の館」。
 「女性セブン」に掲載された作品ですので、女性の読者向けに女性心理にフォーカスを当てておりますが、どことなくぎこちない気がするのは私だけでしょうか?
 それでも、「遺品」は傑作ですし、「髑髏の館」のレイプ・シーンにおける斬新な表現は他に類を見ないものだと思います。

2024年1月23・25日 ページ作成・執筆

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