好美のぼる「老婆少女」(1982年11月10日初版・1984年6月15日2刷発行)

「長野県、伊那の里。
 そこに、良子とその母親、祖母の三人で暮らす家族があった。
 父親は良子が二歳の頃、亡くなり、母親が女手一つでどうにか暮してきたが、その母親が交通事故死。
 そこで、良子と祖母は、祖母の次男、三男、長女を頼って上京する。
 しかし、良子と祖母はどこに行っても、厄介者扱い。
 次男の家では、母親の保険金の大半をだまし取られ、三男の家では倉庫作業でこき使われる。
 祖母が身体を壊したために、医者のもとに嫁いだ長女のもとに二人は引き取られる。
 だが、長女の夫である医者は博士論文のために、良子と祖母を薬物実験に使い、祖母は薬物中毒死してしまう。
 一人ぼっちになった良子のため、祖母は良子に憑りつき、二人を無碍に扱った親戚達に復讐を開始する…」

 前半でとことん主人公達の悲惨な境遇を描き、後半は「なさけ・むよう」(と言うにはちと大味な)復讐を展開させる、好美のぼる先生にお馴染みのパターンです。
 後書きにも書かれてあるように「『みんなのお陰』で生きているんだから、自分勝手はやめましょう」というメッセージが核にあるので、年寄り臭い感は否めません。
 ただし、個人的には、因果応報がはっきりしているマンガは安心して読めて、いいと思います。
 ちなみに、見所は、医者の全身に注射器が刺さりまくっているグロ描写(見開きいっぱい)でしょうか。(「バスケットケース」を思い出しました。あちらは女医の顔にメスが突き刺さってましたが。)
 注射が生理的にダメな人にはかなり来る描写です。

2016年12月27・28日 ページ作成・執筆

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