高階良子「昆虫の家」(1980年4月20日第2版発行)

 収録作品

・「昆虫の家」(1973年「なかよし8月号」付録
「孤児達が暮らす、桜養護園。
 クレールは、日本人男性と、フランス人のクラブの踊り子の間に産まれた混血児であった。
 父親はわからず、母親は彼女を養護園に連れてきた後に病死。
 クレールは美しいものに憧れ、執着し、そして、独占欲が異常な程、強かった。
 他の園児から忌み嫌われていることなど歯牙にもかけず、彼女はこの世で最も美しいもの、蝶の標本を集めることのみを楽しみとする。
 しかし、自分は混血児で孤児の身の上、美しいものがいくらこの世に存在しても、それを手に入れることは困難で、フラストレーションに苛まされる。
 ある日、クレールは、大葉学園に「チョウのような女の子」がいるという噂を耳にする。
 その少女は、テニス部の明石洋子で、クレールは一目見て彼女に夢中になる。
 更に、今まで集めた蝶の標本を園児達から壊されたことにより、彼女はますます洋子に執着し、ストーカー行為にまで及ぶ。
 そんな時、クレールの父親が明らかになる。
 父親の家はクレールの母を認めず、そのうちに父親が病死し、そのことを後悔した祖父母はクレールに莫大な財産を遺したのであった。
 一夜にして、大金持ちになったクレールは、何でも手に入る身分となる…たった一つのものを除いては…。
 一年後、明石洋子は、男友達の写真部部長、久松晃から、上高地に誘われる。
 彼の友人から、蝶の舞い飛ぶ、美しい場所を教わったのであった。
 二人の仲をやっかむ奈々江を加えた三人で、彼らはその場所に向かうが、道に迷ってしまう。
 天候は悪化し、吊り橋のロープは切られ、二進も三進も行かなくなった時、彼らは山中で洋館を発見する。
 館の主人は彼らに親切に接してくれ、ほっと息つく間もあらば、気が付くと、彼らは別々の部屋に監禁されてしまう。
 そう、館の女主人はクレールで、全ては彼女が巧みに仕組んだことであった。
 クレールの望み通り、遂に洋子は彼女の手中のもの。
 だが、洋子の美しさを永遠に保たなければ、コレクションとしては完璧ではない。
 洋子はクレールの異常性に気付き、館から脱出を図るのだが…」

・「男の子をぶっとばせ!」
「昔気質の父親に反発し、男ばかりが威張るのに納得のいかない花山目々子(通称、グリグリ(注1))。
 彼女は、奸智に長けたゲバ子、大女のデカカバとのトリオで、様々な手段で、学園中の男をへこましていく。
 女子生徒の協力も得て、最後の砦、荒岩先生と柔道部も遂に陥落。
 学園は女子生徒に支配されることとなるが…」

 サイコ・サスペンスの名作「昆虫の家」と、恐らく、雑誌に掲載された学園コメディー「男の子をぶっとばせ!」が収録されております。

・注1
 「グリグリ」と聞けば、ドクター・ジョンのファースト・アルバムがすぐさま脳裏に浮かびます。
 ドクター・ジョンは「ガンボ」のイメージが強いかもしれませんが、初期は面妖な「ヴードゥー・ロック」(とでも形容したらいいのか?)で、音楽も容貌もメチャクチャ怪しいです。
 世界初CD化された時のCDは音がこもりまくってますので、デジタル・リマスター版が出ているのなら、入手しなくちゃ。
 とは言うものの、個人的に一番好きなのは、セカンド・アルバムの「バビロン」です。(これがまたヘンなんだ!!)

2017年8月1日 ページ作成・執筆

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