御茶漬海苔「恐怖感染」(2006年8月16日第1刷発行)

 収録作品

・「絵日記」
「小さな村の小学校。
 二学期の最初の登校日、四年生を受け持つ夏美先生は、黒木涼という女子生徒が来ていないことに気付く。
 一時限目の終わり、黒木涼が先生に、夏休みの宿題の絵日記を届けに来る。
 放課後、夏美は黒木涼の絵日記を読むが、そこには、彼女が家族ぐるみで虐待を受けていることが記されていた。
 そして、涼が、夏休みの間に「家族の殺人計画」を実行に移したことも…」

・「伝染999便」
「成田発、ニューヨーク行の飛行機、JAO999便。
 機内で、謎の伝染病が蔓延する。
 それは、人の顔が真っ青になると、頭が破裂してしまうというものであった。
 パイロットも死亡し、パニックに陥る中、医者とスチュワーデスは飛行機を成田空港に戻そうとするが…」

・「紙様」
「山頂にある、古い神社には「紙様」が祀られていた。
 京子と彩は、その祠に、百万円はするという金の像があると聞き、盗みに行く。
 だが、金の像を掴んだ京子は、通路に飾られた紙垂(しで)にズタズタに切断されてしまう。
 彩は、京子を見捨てて、金の像を家に持ち帰るのだが…」

・「夏の想い出」
「中学生になった夏、玉井由香は、おばさんの家に行く。
 彼女はおばから、森の先にある古びた家には行かないよう注意される。
 その家には、頭のおかしい老婆が住んでいるらしい。
 とは言うものの、好奇心旺盛な年頃故、夕方、彼女はこっそりその家を探しに出かける。
 見つけた家は廃墟で、家のあちこちにお札が貼ってあった。
 戸を開け、中に入ると、奥に得体の知れない老婆がいる。
 老婆は、除霊をしないと、一週間後に悪霊が産まれて死ぬと言いつつ、由香に近づいてくる。
 由香が逃げようとすると、老婆が左肩に噛みついてきて…」

・「ネタマゴ」
「川島花は、学校ではいじめられ、家ではヒステリックな母親に罵倒される日々を送る。
 愛に飢えた彼女は、噂で聞いた「ネットタマゴ」をインターネットで注文する。
 それが届くと、彼女は、部屋に引きこもり、ネットタマゴを抱いて過ごす。
 取扱説明書には、タマゴを「あなたの体温で話しかけながら、愛情をこめて育て」るよう書かれていた。
 すると、卵が孵り、中から犬(猫?)のような生物が姿を現す。
 花はその生き物に泣き声から「キュー」と名付けるが、そこに、花の母親が怒鳴り込んで来る。
 キューに危害を加えようとする母親に、キューを必死にかばう花。
 すると、キューの身体に変化が起きて…」

・「ゴーストクラブ」
「自分の死期について書かれた手紙がゴーストクラブから来るという噂。
 ある学校の放課後、三人の女子生徒がその噂について話していると、風に乗って、窓から手紙が舞い込んでくる。
 その手紙は、三人の中の井上夏美に宛てたもので、本日午後五時に彼女をゴーストクラブに招待すると書かれていた。
 次の瞬間、強風にあおられ、夏美は窓から転落し、旗のポールに串刺しになる。
 村上真樹と青井翼はその場から逃げ出すが、実は夏美への手紙は二人のいたずらであった。
 話し合おうと、真樹の部屋に行くと、机の上に、ゴーストクラブからの招待状が置かれていた。
 それには、本日午後七時に真樹を招待する旨、書かれており…」

・「新たな大地を求めて」
「新米記者の娘が、不老不死の噂のある村に、取材に出かける。
 山奥の寒村で彼女は聞き込みを続けるものの、村人の誰一人として彼女と関わろうとしない。
 そんな時、彼女は奥歯が痛くて、我慢ができなくなる。
 たまたま見つけた、ボロい歯医者で、年寄りに医者から治療を受けるが、彼女の虫歯は相当ひどいと言われる。
 そこで、「この村に百年伝わる歯の手術機械」を顔にはめられ、「この地方に伝わる歯のなおし方」を施されるのだが…」

・「エリカ」
「東中学校。
 あるクラスで三人の少女が立て続けに変死する。
 彼女達は、交通事故死したエリカから電話に出た後に、死亡していた。
 頭を捻る刑事のもとに、エリカは、同じクラスのユリに突き飛ばされて、事故死したらしいとの連絡が入る。
 刑事はユリを事情聴取するために、警察著に連行する。
 そこで、ユリの携帯電話に着信があるが、彼女は決して出ようとせず、携帯電話を破壊する。
 その時、刑事の携帯電話に着信があり…」

・「クリスマスの贈り物」
「クリスマス・イブ。
 アリスの家は父子家庭で貧しく、父親は仕事が忙しいため、アリスをかまってくれない。
 彼女がやさぐれていると、「悪のサンタクロース」が現れ、彼女をさらう。
 父親はサンタの服からほつれた一筋の赤糸を頼りに、サンタの居場所に向かう。
 そこでは、悪い子を、トナカイのエサの缶詰に加工する工場であった。
 父親は間一髪でアリスを助け出すが、背後から「悪のサンタクロース」が斧で父親を襲う…」

 「ホラーM」(ぶんか社)に掲載された短編を収録したものです。(何で、ぶんか社から出なかったんだろう?)
 個人的に良いと思ったのは、「絵日記」と、作者もお気に入りの「伝染999便」。
 「新たな大地を求めて」は、映画「マラソンマン」を超えた!と思っておりますが、ラストが蛇足に思いました。

・備考
 サイン入り。

2019年9月23日・10月16日 ページ作成・執筆

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