森野達弥・漫画/島本高雄・原作「無宿狼人キバ吉@」(2004年2月10日第1刷発行)

 人間の娘と狼の間に産まれた(らしいが、詳細は不明)、犬神村のキバ吉。
 無宿者の彼は、行く先々で、魔性のもの達と戦うこととなる…

・「三途の川に牙は消えた」(「COMIC ガム」2002年10月号)
「上州、坂本近く。
 女渡世人、川風のお紺(25歳)は、貸元(博打うちの親分)、宮田の徳太郎に、キバ吉を殺す話を持ち掛けられる。
 成功した暁には代貸(親分の代理)になれるというので、お紺は、親分の指示通り、御札を貼りつけた短刀でキバ吉を刺し、キバ吉は川に転落。
 お紺は、徳太郎のもとに戻るが、彼は腕にケガをしたと奥にこもって、出てこない。
 一週間が過ぎてようやく、お紺は、代貸になることのお披露目をしてもらうこととなる。
 お披露目の夜、徳太郎の屋敷を訪れた客がある。
 それは、殺されたはずのキバ吉であった。
 一方、お紺は、徳太郎に約束を果たすよう詰め寄るのだが…」

・「峠の影は牙で斬れ!・前編」(「COMIC ガム」2003年6月号)
「賭場での出来事がきっかけで、キバ吉は、渋谷村の与一郎(19歳)にまとわりつかれる。
 彼は、不死になって永遠に遊んで暮らしたいと望み、キバ吉に「お化け」になる方法をしつこく聞く。
 癇癪を起したキバ吉が、首でもくくって、閻魔様に頼めと怒鳴りつけると、死ねばいいのか、と本人は妙に納得。
 この事から一年後、同地を訪れたキバ吉は、その地が異様に荒れ果てていることに気付く。
 また、獣の捨て場があるためか、異臭がひどい。
 その時、女性の悲鳴が聞こえ、キバ吉が駆け付けると、巨大な猪のような化け物に、盲目の娘が襲われていた…」

・「峠の影は牙で斬れ!・後編」(「COMIC ガム」2003年7月号)
「キバ吉は、盲目の娘、お千代を、彼女の家に送り届ける。
 その家は、魔除けの御札が至る所に貼られていた。
 キバ吉は、その家の納屋に泊まることとなるが、その夜、彼女の祖父にあたる村役が家にやって来る。
 やがて、キバ吉は、彼女が村人達に化け物扱いされ、隔離される理由、そして、彼女の本当の父親を知ることとなるのだが…」

・「夕闇に牙は映えた・前編」(「COMIC ガム」2003年10月号)
「房州大野島崎村。
 そこは、網元・文佐が、ある方法で、漁を独り占めにし、村の実権を握っていた。
 また、彼は、村に賭場と女郎屋を開き、貧しい村人達から金を搾り取る。
 キバ吉は、雨宿りに入った家で、そこの住人の捨吉と知り合う。
 腹薬をキバ吉にあげた代わりに、捨吉は一日だけの用心棒をキバ吉に頼む。
 彼は、博打で当てた金で、女郎屋に身売りした、許嫁のおしのを身受けしようとしていた。
 だが、夜半、捨吉の家に、文佐の雇ったゴロツキ共が押し入る…」

・「夕闇に牙は映えた・後編」(「COMIC ガム」2003年11月号)
「捨吉のために、キバ吉は、おしのの行方を捜す。
 文佐の秘密を探るうちに、浜辺に女郎の変死体が幾つも打ち上げられる理由、そして、文佐がいつも大漁である秘密が明らかとなる。
 文佐の屋敷の下にある海蝕洞で、キバ吉が見たものとは…?」

 人狼の無宿者、キバ吉が、妖怪と戦う連作ものです。(この作品を映像化したものが原口智生監督「跋扈妖怪伝 牙吉」らしいです。)
 島本高雄氏が原作の、しっかりしたストーリーに、元・水木プロの森野達弥先生の絵がフィットして、かなり楽しめます。
 作品の後の「邪魂魔道覚書(要は、妖怪図鑑)」や「渡世人辞典」といった文章も、作品をより深く理解するのに役立ち、好印象。
 ちなみに、「復讐の炎は牙に散れ」という続巻も出てはおります。
 ただし、グーグルで調べたところによると、ドラマCDとカップリング、かつ、出版社のサイトでしか買えないものだったらしく、今となっては、かなり入手は困難ではないでしょうか。(私は実物を目にしたことがありません。)
 今は、電子書籍がありますので、まとめて復刻してみたら、如何でしょうか?

2019年9月18日 ページ作成・執筆

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