白川まり奈「侵略円盤キノコンガ」(1976年9月20日初版発行)

「1978年4月10日。
 姥が岳へのハイキングの際、青木という少年が、足を骨折し、佐田先生に付き添われて、山小屋で一晩を過ごすこととなる。
 その日の午後五時ニ十分、山小屋の近くに、UFOが墜落する。
 すぐに調査隊が派遣され、UFOの中から宇宙人が発見される。
 K大宇宙研究所の白国博士は、パニックを避けるため、宇宙人のことは秘密にし、青木と黒田先生を研究所に監禁状態に置く。
 その一方で、奇怪なことが続発。
 UFOの調査隊が全員行方不明となり、キャンプ近くには謎のキノコが群生していた。
 その事件の後から、日本のあちこちに隕石が落下し、各地で多大の被害をもたらすようになる。
 研究所がUFOに攻撃された混乱に乗じ、青木と佐田先生は研究所を脱出するが、その際、白国博士から恐ろしい推測を聞かされる。
 それは、墜落したUFOはスカイラボ(宇宙実験室)のようなもので、乗っていた宇宙人は、謎のキノコの胞子を研究中に、その毒にやられたのではないか、というものだった。
 博士の推測通り、墜落したUFOから地球にもたらされたキノコの胞子は成長し、蛙から人間まで、あらゆる動物に片端から寄生していた。
 更に、キノコに寄生された人々は、キノコの胞子の潜む隕石を地球に呼び寄せて、仲間を増やしていく。
 青木少年は、佐田先生と別れた後、家族の待つ家へと向かうのだが…」

 私如きが解説なんかできそうにない、「DEEP」かつ「オンリー・ワン」な漫画家、故・白川まり奈先生。
 白川まり奈先生の代表作として、最も有名な作品です。(注1)
 ストーリーは「UFO」meets「マタンゴ」といった感じですが、人類全滅というヘビー(なわりに、田園的)な結末のため、読後感は非常に重いです。
 この「人類全滅」というラストが、こちらには何の非もないのに、問答無用でただただ絶滅していくより他はなく、やるせなさ炸裂です。
 元の元凶となったUFOなんか「ひややかに地球を見守ってい」(p184)るだけなので、スティンガーで撃墜してやりたいですよ、ホンマ!!

 この作品はトラウマ・ホラーの名作として知られているためか、復刻に恵まれております。
 まんだらけ様からの復刻が手軽ですので、興味ある方は、こんな実のない文章を読むより、まず読んでください。
 また、太田出版から出されたQJマンガ選書の一冊は、これまたウルトラ・ヘビーな傑作「どんづる円盤」とのカップリングですので、お薦めです。

・注1
 他にも、凄い作品はまだまだあるのですが、相場が某専門店Mのガラスケースの中で云万円というレベルなので、普通の人にはまず読むことができません。
 どうして復刻が進まないんだろう…?

2017年4月19日 ページ作成・執筆
2022年11月28日 加筆訂正

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