本田真吾「切子」(2015年3月20日初版発行)

「同窓会の案内状を受け、廃校となった中学校に集まった六人の男女。
 平凡な会社員、葉山良介。
 保険の営業員、山崎みずほ。
 IT企業の社長、渡部和哉。
 世界中を旅する音楽家、加藤正雄。
 キャバ嬢の平野理緒。
 小説家の滝本英孝。
 「K」という人物から送られた案内状には、十七回忌を迎える奥村切子の思い出を語り合おうと書かれていた。
 奥村切子は中学三年の夏、謎の飛び降り自殺を遂げており、葉山良介はこの機会に彼女の死の真相を突き止めようと考える。
 だが、同窓会の最中、平野理緒がトイレで無惨な死体となって発見される。
 更に、大雨のために土砂崩れが起こり、彼らは外界から孤立。
 彼らは助かる方法を探るが、一人また一人と惨殺されていく。
 そして、「タイムカプセル」の中身を確かめた時、切子の死の真相が明らかとなる…」

 作者は「Jホラームービーのような漫画」を描こうとしたけど、「なんか違う感じ」になったと袖で書いております。
 「なんか違う感じ」をもっと詳しく説明すると、この作品、表紙からわかるように実は「モンスター・ホラー」なのであります。
 こけおどしでお茶を濁すような真似は一切せず、モンスターの豪快な暴れっぷりを中だるみなく、ガンガン見せてくれるのは作者の力量によるものでしょう。
 また、ストーリーに大きな混乱や破綻はなく、ミステリーとしても成立しているところも唸らされます。
 ちょっと作者がやり過ぎている感のところもありますが、個人的には佳作だと思います。

2019年1月20日 ページ作成・執筆

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