美内すずえ
「白ゆりの騎士@」(1975年5月20日初版・1981年6月15日9版発行)
「白ゆりの騎士A」(1975年11月20日初版・1981年6月15日8版発行)

 収録作品

・「白ゆりの騎士」(1974年「花とゆめ」6月創刊号〜1975年5月号掲載)
「1429年、フランス国王、シャルル六世の亡き後、イギリス王国は、その后、イザボー・ド・バビエールを丸め込み、フランスに攻め込む。
 シャルル六世の息子、シャルル七世は母と敵対し、パリを脱出、シオン城に拠点を構える。
 イギリス軍は、シオン城への途上にあるオルレアン城を包囲し、兵糧責めにしていた。
 そんなある日、ドンレミ村のアルク家の三女、ジャンヌ・ド・アルクは大天使ミカエルよりフランスを救うよう啓示を受ける。
 ジャンヌは神への信仰のみを頼りに、様々な援助を得て、遂にはシオン城のシャルル七世と面会。
 青ひげと恐れられたジル・ド・レイ候の協力さえも取りつけ、ジャンヌはオルレアン城の解放に向けて動き出す。
 だが、シャルル七世の配下で、ジャンヌが想いを寄せるレナード・エルモンテスはイギリス軍のスパイであった。
 更に、イギリス軍の真の黒幕は、魔王ルシフェルを崇拝する一派であった。
 悪魔の妨害にもめげず、ジャンヌ率いるフランス軍はイギリス軍を一つ、また一つ撃破していく…」
 ジャンルとしては「歴史ロマン」になるのでしょうが、怪奇色が強いのが、美内すずえ先生らしいかも。
 悪魔崇拝や、死体から作った蝋人形を愛でるジル・ド・レイの描写は、かなりおどろおどろしい雰囲気です。
 でも、あまりに能天気なヒロインのせいで、すっかり怪奇色は霞んでしまってますが…。(あくまで基本は「歴史ロマン」ですから。)
 それにしても、この作品はオルレアン城の解放で作品が終わっており、中途半端な印象があります。
 ジャンヌ・ド・アルクの火刑をラストにしたら、もっと怪奇マンガらしくなったのになぁ…。(だから、これは「歴史ロマン」だって言ってるだろ!!)

・「人形の墓」(「週刊マーガレット」1973年37号掲載)
「孤児院で育ったアナベルはローズ・リー夫人の屋敷に送られる。
 アナベルは母親を持てると思ったのも束の間、ローズ・リー夫人はセーラという名の人形を本物の子供のように接していた。
 十二年前、ローズ・リー夫人は夫を亡くした後、一人娘のセーラが小児マヒとなり、両足が不自由となる。
 それでも、甲斐甲斐しく世話をしていたが、セーラも三年前に亡くなり、セーラの遺言により、彼女の大切にした人形をセーラの代わりとして扱っていたのであった。
 ローズ・リー夫人の不幸な過去を知ったアナベルは、積極的に明るく振る舞い、夫人の凍り付いた心を徐々に溶かしていく。
 だが、アナベルの身辺でおかしなことが次々と起こるようになる。
 その陰には、セーラの人形の姿があった…」
 「人形もの」の傑作の一つでしょう。
 何が怖いかって、人形の「視線」があまりに生々しくて、めちゃくちゃ気持ち悪い!!
 最近、美内すずえ先生の怪奇マンガの復刻が進んでおりますので、カラー・ページ付きで是非復刻して欲しいものです。

・「いとしの君ロミオは女」(「別冊マーガレット」1973年6月号掲載)
「父親の病気のため、菊川未央は立花家に預けられる。
 しかし、彼女は、妻に逃げられた父親に男として育てられたために、すっかり「男装の麗人」となっていた。
 同じクラスとなった立花亜美は、未央を女らしくしようと奮闘するが、全くぬかに釘。
 それどころか、未央は学校中の女子生徒のハートを鷲掴みにしていき、騒動が持ち上がる…」
 コメディー・タッチの作品ですが、「男として育てられた娘の悲哀」も表現されており、読後感はちょっぴり複雑です。

・備考
 二巻に、目立つシミあり。

2018年6月20日 ページ作成・執筆

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