青木智子・他「学校に伝わる怖いうわさA」(1995年9月7日初版第一刷発行)

 収録作品

・青木智子「第14話 りさ」
「一年生の水口和美は、バレーボール部で先輩達のいじめにあっていた。
 朝早く、朝練に向かう途中、彼女は、同じ学校の制服を着た娘と出会う。
 娘の名はりさで、二人はすぐに打ち解ける。
 和美がりさに部活動でのいじめについて愚痴を言うと、りさは「線路の向こう」に行こうと誘う。
 線路の向こうにあるそこに行けば、勇気が出て何もかもうまく行くと、りさは言うのだが…」

・青木智子「第15話 ピアノの傷あと」
「明日に劇が控えているのに、舞台に置きっぱなしのピアノ。
 そのピアノは、ピアノの上手な女子生徒が自動車事故で亡くなって以来、ひとりでに鳴るという噂があり、誰も動かさない。
 演劇部の大道具係の女子生徒達は、ピアノをどうするか悩んでいたが、中の一人が、ピアノをそのままにして林のセットで覆う。
 更に、セットの固定のために、ピアノに釘を打ち込む。
 舞台のセットが終わった後、彼女達が帰ろうとすると、釘を打ち込んだ女子生徒が泣き声を耳にする。
 泣き声は舞台から聞こえてくるようなのだが…」

・青木智子「第16話 洞穴の少女」
「夏、沖縄への家族旅行。
 少女はホテルにバッグを預けると、早速、海を見に行く。
 日が暮れたので、帰ろうとすると、どこからか子供の泣き声がする。
 茂みに分け入って捜すも、子供は見つからず、いつしか泣き声が彼女を追って来る。
 少女はどうにか母のもとにたどり着くが、その夜、ホテルで…」

・青木智子「第17話 返してよ」
「ある団地。
 伊藤という主婦の隣には、渡辺という家族が住んでいた。
 渡辺の妻はあまり几帳面でなく、息子のあきらはいたずらっ子で好き放題。
 しかも、謝り方も誠意がないため、他の主婦達から反感を買っていた。
 伊藤は、自分にも火の粉が降りかからないようするため、渡辺とは関わらないようにする。
 だが、そのせいで、悲惨な事故が起こり…」

・藍まりと「第18話 遊びの顛末」
「休憩時間中、男子生徒の間でバケツ・サッカーが流行る。
 女子生徒が注意しても、男子生徒は知らん顔。
 授業が終わり、続きをしようと、掃除ロッカーからバケツを取り出すと、いつの間にか水と長い女の髪が入っていた。
 とりあえず、バケツを洗い、サッカーを始めようとすると…」

・藍まりと「第19話 夜のプールは…」
「熱帯夜。
 涼もうと、三人の男子生徒が夜のプールに忍び込む。
 このプールには昔、プールで溺れ死んだ少女の幽霊が出るとの噂があった。
 最初は浮かれ楽しんでいたものの、どうにも気味が悪く、男子生徒のうち、二人は帰ろうとする。
 意固地になった小林は一人プールで泳ぐのだが…」

・藍まりと「第20話 鏡は見ていた」
「この学校では、北側の二階と三階の間にある踊り場の鏡の左下隅にヒビがある。
 以前、女子生徒が転校してきたが、彼女はあまりに内気で、一人ぼっちであった。
 ある日、音楽室に向かう途中、彼女はクラスメートに髪を引っ張られて、階段を転げ落ち、踊り場で頭を打って死亡。
 その際、弾け飛んだ髪飾りが鏡にヒビを入れたのであった。
 この事件が忘れられた頃、同じように内気な少女がクラスメートとゴミを運んで、階段を降りてくるのだが…」

・篁よしやす「第21話 わがままな人形」
「父親が海外出張のお土産にと美晴にビスクドールを買ってくる。
 だが、翌日、彼女の部屋が何ものかに荒らされ、更に、人形の顔が醜く変化していた。
 以来、美晴の家族は災難続き。
 美晴は、この人形のせいと考え、ゴミ捨て場に捨てるのだが…」

・篁よしやす「第22話 コートの怪人」
「ある中学校と、県下一の法聖中とのバスケ試合。
 ボロ負けで、全く試合になっていなかったが、補欠の女子選手がおかしなことに気づく。
 五人で試合しているはずなのに、法聖中のチームは一人多いようなのだが…」

・浅茅峰子「第23話 冬服の私」
「珠生は水泳部に所属する女子高生。
 彼女は夏風邪をひいて部活を休むが、その日、友人が隣町で彼女を見たと言う。
 友人達が見た彼女は夏にもかかわらず、冬服を着ていた。
 他にも、冬服の彼女を見たという証言がちらほらとある。
 ある晩、珠生は友人達と縁日に出かける。
 そこで、彼女はじぶんにそっくりで冬服の少女を目にするが、少女はかき消すようにいなくなる。
 冬服の少女の正体とは…?」

・浅茅峰子「第24話 写真」
「橋本玲子は、高校時代の友人の三好里絵と共に、旅行に行く。
 その旅行で撮った写真の中に、奇妙な写真が一枚あった。
 霊感があるという同僚に視てもらうと、これは結構ヤバいものらしい。
 ネガは里絵が持っているので、玲子は彼女に連絡するが、彼女の家は全焼。
 玲子は写真を処分しようとするが、何をしても、写真は彼女の手元に戻って来る…」

 青木智子先生の作品は相変わらずサイコ〜ですが、この単行本では浅茅峰子先生の二編が突出しているように思います。
 ストーリー的には目新しさはありませんが、シャープな描線で、美しく仕上げております。

 
2020年10月10日/2022年12月30日 ページ作成・執筆

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