青木智子・他「学校に伝わる怖いうわさC」(1996年8月17日発行)

・青木智子「第三十八話 命の灯(ともしび)」
「心臓病で余命いくばくもない少女。
 死後、彼女は、ろうそくがたくさんある洞窟のような所へ行くが、自分の生命に執着するあまり、他人のろうそくをかき集めて、それに自分の火を灯す。
 彼女は、一度は生き返るものの、徐々に身体が腐り出す…」

・青木智子「第三十九話 落とし穴」
「海に臨む町。
 まゆは意地悪な姉にぬいぐるみを海辺の岩場まで持って行かれて、捨てると脅かされる。
 が、姉は岩場にあった穴に足を突っ込み、抜けなくなる。
 まゆは姉を見捨てて、帰宅。姉は捜索活動にも係わらず、行方不明となる。
 まゆはその穴が姉を飲み込んだと信じる。
 そして、中学生になった時は、恋のライバルをその穴にはめて、行方不明にする。
 成人して、幸せな家庭を持った、まゆだったが、彼女に「陥穽」が待ち受けていた…」

・青木智子「第四十話 古井戸」
「角洗公園の隅にある古井戸。
 小沢は、その古井戸に、クラスメートの谷田が、学校から盗み出してきた飼育動物の死体を投げ込むのを目撃する。
 谷田が言うには、子供の頃、この井戸に落ちたことがあったという。
 その時に、井戸に棲む鬼に、助ける代わりに、動物の死骸を持ってくる約束をしたのだと言う。
 嘘だと思うなら、覗いてみろと言われ、小沢が覗き込んだところを、谷田は突き落とそうとする。
 咄嗟に身をかわし、谷田は頭から井戸に落ちてしまう。
 心配する小沢の前に、血だらけの谷田が井戸から上がってくるが、彼女はどこか変わっていた…」

・青木智子「第四十一話 洗首池の亀天神」
「神社のお祭りに行った時、千秋は露店の老人から、幸運を呼ぶ亀をもらう。
 その亀は大事に育てて大きくなれば幸せをもたらすが、二つ禁忌があった。
 それは、肉を与えてはならないこと。そして、飼いきれなくなったからといって、川や池に放さないこと。
 千秋は亀を大切に育てるが、近所の友達が自慢の犬と較べて、しょっちゅうバカにする。
 悔しくて、亀を大きくしようと、肉を与えるが…」

・青木智子「第四十二話 死者の声」
「お寺跡に建てた校舎。
 テニス部員の戸川は、テニスコートの網を張る支柱(何というのか知らない)を入れる穴から、呻き声を聞く。
 しかし、誰も信じてくれず、退部する旨を先輩に告げる。
 先輩は戸川を放課後の無人のテニスコートに連れて行き、穴を覗くよう言う…」

・TAMI「第四十三話 捨て猫」
「避妊もせずに飼っていた猫が、子猫を産んでしまい、公園に猫を捨てた女性。
 女性が寝ていると、親猫が血を流した姿で、女性の前に現われる。そして、骸となった子猫の姿も。
 女性が公園に駆けつけると…」

・穂波到「第四十四話 姿なき声」
「女性がホテルで休んでいると、隣の部屋から話し声が聞こえる。
 話し声は、痴話喧嘩らしいが、どうも刃傷沙汰になりそうな気配なので、女性はフロントに電話をかけるが…」

・穂波到「第四十五話 合宿所の怪」
「学校での合宿。
 早めに床に就いた女生徒は、誰のものかわからない寝息を聞く。
 そして、その夜、怪事件が起きる…」

・穂波到「第四十六話 地下に棲む影」
「大阪の悲惨なビル火災、その後に建てられた建物で起こる怪。」

・新井十二「第四十七話 夜行者」
「廊下の向かうから近づくような物音がして、気が付くと、廊下の真ん中に人形がいる、という夢を、陽子はしばしば見る。
 夢に出てくる人形は、以前から家にあるものだが、それは父親が陽子が小さい頃、バザーで格安の値段で買ったというものだった。
 陽子を心配した友達が泊まりにくる晩、人形が姿を消す…」

 今回も青木智子先生のマンガが約七割を占めるという大判振る舞いです。
「落とし穴」「洗首池の亀天神」(ちょっぴり「グレムリン」)あたりが味わい深いです。
 あと、「古井戸」に、史上最凶のゾンビ映画「ゾンビ3」を思い起こさせる描写があるのですが、こちらの気のせいでしょうか?
 ちなみに、この本を最後に、「学校に伝わる怖いうわさ」は「百物語」の半ばにて終わってしまいました。
 残念なのですが、青木智子先生と他の先生方のテンションの落差を考えますと、仕方なかったかもしれません。
 まあ、最大の原因は、おどろおどろし過ぎる青木智子先生の絵が、ティーンの女の子達にさっぱり受けなかったせいかもしれませんが…。

平成27年1月28・29日 ページ作成・執筆

その他の出版社・リストに戻る

メインページに戻る