高階良子「くらやみに悪魔が!」(1976年10月25日第2刷発行)
収録作品
・「くらやみに悪魔が!」(1973年「なかよし新年特大号」別冊付録)
「原田麻希は絵に描いたような優等生。
学級委員長を務め、両親と校長からの期待を一身に集める。
ある冬の日、彼女は冬眠から覚めたばかりの蛇を子供達から助ける。
蛇をスカーフにくるんで、安全なところに置いた時、過って池に転落、肺炎にかかり生死の境をさまよう。
その際に、普段抑圧されていた心の一部が蛇に入り込んでしまう。
蛇は美青年に姿を変え、夜な夜な、麻希のもとを訪れ、彼女の秘められた願望を叶えようと誘う。
彼女が眠りに落ちる時、彼女は自らの欲望を満たしていくが、それは思わぬ悲劇を巻き起こしていく…」
・「ミキの泣いた朝」
「松原ミキは子供の頃から、父親が姉ばかり可愛がるのに寂しい思いを抱いていた。
継母の母親は彼女に関心を大して払わず、こまめに世話をしてくれるのは婆やだけ。
父親がミキへの愛情を見せたのは、幼少の彼女が肺炎になりかけた時、夜の間、付き添ってくれた時だけであった。
ミキは心の隙間をガリ勉で埋めようとするが…」
「くらやみに悪魔が!」は、蛇をテーマとしながらも、超能力や抑圧された願望等が扱われた、作者曰く「SF風怪奇のあっさりごのみ」(p166)な佳作です。
ただ、「あっさりごのみ」なのはラストだけで、バラバラ死体や、男を誘惑する描写は「あっさり」してるとは言い難いです。
でも、同時期のわたなべまさこ先生のマンガと較べたら、遥かに「あっさり」していたかもね…。
「ミキの泣いた朝」は、まあ、他愛のない短編のように思いました。
2018年4月19日 ページ作成・執筆
2019年9月8日 加筆訂正