長谷川哲也「オカルト・マキアート@」(2018年3月10日第1刷発行)

 三人の女子高生、オグ(ギャル系/ヤンキー気質)、サオリン(清楚系/成績優秀)、ミサミサ(良く言えばボーイッシュ)。
 彼女達が耳にする都市伝説の真相とは…?

・「ハマラメ」
「平凡なサラリーマンが駅で見かけた老人。
 頭はボケてそうだが、眼も歯も立派、性欲もばっちり。
 老人を見て、サラリーマンは「はまらめ」(人間のパーツの老化を示す言葉)を思い出す。
 一方、駅で老人を狙った「連続突き落とし事件」は「ハマラメ」という殺人鬼の仕業という噂があった…」

・「クエクエ」
「首の台にある廃団地に住むと言われる妖怪クエクエ。
 それは、育児放棄され、餓死した子供が妖怪化したもので、捕まったら、死ぬほどの空腹を味わわされるらしい。
 クエクエの正体とは…?」

・「占い師」
「首の台駅前の占い師は、良いことも悪いことも全て的中することで評判。
 ある娘が、その占い師に未来を見てもらうが、彼女は今夜、交通事故で死ぬと言われる。
 ふと気づくと、占い師の姿は消え、そこは事故現場であった。
、占い師は先週、交通事故で亡くなっていることを知った娘は、交通事故に遭わないよう、マンションの自室にこもるのだが…」

・「藁人形」
「代行業という名の便利屋。
 そこに届けられた段ボールには、藁人形と地図、依頼料が入っていた。
 男性社員は、呪いを恐れながらも、地図に記された人里離れた神社に藁人形を打ちに行く。
 その依頼を何度もこなすうちに、男性社員は、パワハラな所長に呪いをかけようと試みる。
 そのうち、彼に心境の変化が訪れて…」

・「決めずの橋」
「「決めずの橋」と呼ばれる配善橋。
 その橋の上では皆、記憶が食い違うため、約束はしてはいけないと言われていた。
 ある夜、配善橋にて、巨体の男の前に、若い女性が歩いていた。
 男は無防備すぎる娘をちょっと脅かしてやろうと下心を起こしたところ、娘の彼氏からバットで後頭部を殴られる。
 このカップルはこの手で人を襲っては、金を奪っていた。
 しかし、彼氏の方がやり過ぎて、男を撲殺してしまい、死体を川へ遺棄。
 娘は彼氏と別れようとするが、ある日、彼氏の方から彼女に面会を求めてくる。
 彼は、殺した男が町中を歩いていたと話すのだが…。
 記憶が食い違う果てに待ち受ける結末とは…?」

・「角部屋」
「マンションの四階角部屋には事故物件が多かった。
 しかも、それは殺人によるもので、手口は絞殺かアイスピックによるものらしい。
 その意外な犯人と、その動機とは…?」

・「シネマ」
「五十年前の火災以来、ゴラク座に時たま現れる、シネマゼロという映写室。
 小学校の女教師がそこにたまたま迷い込むが、彼女がそこで目にするものとは…?
 そして、シネマゼロに巣食う者達が望むものとは…?」

・「反省仮面」
「反省仮面とは、覆面をして、夜回りをしては、不良達に説教する老人。
 ある夜、帰宅途中のサラリーマンは、反省仮面が不良達にリンチされている場面に遭遇する。
 サラリーマンは不良達に拉致され、拘束かつ目隠しをされ、尋問を受ける。
 家族について聞かれた後、目隠しを外されると…」

・「前世」
「伊勢はライトノベルばっかり読んでる変わり者。
 クラス一の美女、ハルカはそんな彼に想いを抱き、彼の趣味に合わせて告白をする。
 それは、前世で、彼女はレイナ姫で、彼は恋人の騎士、バルドだったと主張するというものであった。
 伊勢はその告白に乗り、翌日、デートすることとなる。
 だが、伊勢は、本当に、騎士バルドとして振る舞うようになり…」
(初出/「ゴラクエッグ」2017年5月〜2018年1月配信分収録)

 都市伝説を扱ってはおりますが、スパイス程度でしかなく、奇想とオチで勝負する内容で、非常に面白いです。
 どの作品もいい出来ですが、ベストは「決めずの橋」ではないでしょうか。もっと発展する可能性のあるアイデアだと思います。
 個人的なお気に入りは「クエクエ」と「藁人形」です。

2019年10月30日 ページ作成・執筆

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