鹿賀ミツル
「オフスプリングス@」(2022年10月20日発行)
「オフスプリングスA」(2023年3月10日発行)
「オフスプリングスB」(2023年5月20日発行)
「オフスプリングスC」(2024年1月20日発行)


単行本@(「マンガTOP」2022年5月〜8月配信分収録)
・「第1話」
 浜地島にある成尾浜キャンプ場。
 スカウト野営地では大勢の子供たちが晴天の下、野外活動を楽しんでいた。
 そんな時、恋という名の女児が何かに噛まれ、運ばれてくる。
 ロッジで医学生の梅野竜太郎が診ると、噛み傷は「子供」のものであった。
 すると、突然、恋は鼻血を流し、隣の少女に噛みつく。
 噛みつかれた少女も鼻血を出し、梅野たちを「オトナ」と指さし、「あそぼう」と言う。
 一方、キャンプ場でも噛み傷のある子供たちが鼻血を流し始め…。
・「第2話」
 子供たちが大人たちを殺し始め、キャンプ場は阿鼻叫喚の巷となる。
 指導員の糸井義男(Mr.レディ・キャラ)はその場から逃げ、女友達のいるトイレへと向かう。
 そこで目にしたのは…?
・「第3話」
 子供たちに追われ、糸井は焼却炉の中に身を隠す。
 そこには北条史也という少年も隠れていた。
 彼はインドア派の少年で、一人で本を読んでいて、異変に気付いたのであった。
 彼は子供たちの変化は「新型ウイルス」ではないかと推測する。
 彼の兄は国立感染症センターの研究者で、兄に会えば何かがわかるかもしれないのだが…。
・「第4話」
 まず、糸井たちがすべきことは梅井のいるロッジに向かうこと。
 意を決して、焼却炉から出るものの、狂暴化した子供たちに囲まれてしまう。
 この包囲網から脱出するには…。
・「第5話」
 包囲網を突破し、ロッジのあるあたりへに着く。
 そこで車が走っているのを目にして、糸井は乗せてもらおうとするが…。
・「第6話」
 その頃、梅井は子供たちに襲われ、混乱していた。
 凶器を手に迫ってくるものの、逆襲しようとすると、普通の子供に戻り、どうしたらよいかわからない。
 負傷した彼はロッジから逃げ、川へと向かう。
 傷口を洗い、一息ついた時、川で全裸の子供が身体を洗っているのに気づく。
 子供の身体は全身、傷だらけであった。
 しかも、その子供の額には…?
・「第7話」
 糸井はロッジの電話で助けを呼ぼうとするも、電話は通じない。
 すると、ベッドの下から銃口が現れ、糸井に向けられる。
 ベッドの下に隠れていたのは、陸佐の坂本誠四郎と息子の隼人であった。
 彼らは麻酔銃で猟に来ていたのだが、子供たちに妻は惨殺され、隼人はショックで自失状態になっていた。
 彼らが話し合っていると、ロッジの外で人の気配がする。
 見ると、武装した男が二人、林の中にいた。
 子供たちは彼らを見つけると、襲いかかるのだが…。
・「第8話」
 ロッジに梅井が現れ、ここから逃げるよう警告する。
 先ほど、彼は川で武装した連中の「計画」を耳にしたのであった。
 川で目にした子供は「生物兵器」で、二時間後、この一帯は爆破されるという。
 とりあえずは、陸佐の坂本の案内で、彼らは山中の獣道を進む。
 途中、防空壕跡で休憩することになり、坂本は隼人を離れた場所へトイレに連れて行くのだが…。

単行本A(「マンガTOP」2022年8月〜12月配信分収録)
・「第9話」
 隼人は感染者であった。
 しかし、坂本は糸井たちを犠牲にしてでも、我が子を守る決意であった。
 梅野は坂本に人の心が残っていると感じ、説得しようとした時…。
・「第10話」
 至る所で爆破が始まる。
 これは「陽動爆破」であったが、どこに逃げれば安全なのかがわからない。
 更に、空には軍用ドローンが毒ガスを散布している。
 軍用ドローンを操っているのは「スモーク」という名の少年であった。
 とりあえず、糸井たちは風上に逃げるのだが…。
・「第11話」
 坂本は武装した男を二人倒し、防毒マスクを入手する。
 彼は一つを自分、もう一つを隼人に装着させ、糸井たちを見捨てて、立ち去ろうとする。
 梅野は北条史也を連れて行くよう頼むのだが…。
・「第12話」
 まずは、上空の軍用ドローンをどうにかしなければならない。
 坂本と糸井はスモークのいる木の場所へと向かう。
 毒ガスを吸えば命はなく、スモークを倒すまでの間、息を止めてなければならない。
 制限時間は四分…。
・「第13話」
 坂本と糸井の作戦は成功し、スモークを麻痺状態に追い込むことに成功。
 毒ガスが晴れるまで、彼らは耐えることができるのであろうか…?
 その頃、子供たちはあの少年の指導の下、大人たちのバラバラ死体を積み上げて、レーザー網を渡る橋を作っていた…。
・「第14話」
 坂本と糸井は梅野たちのもとへと戻る。
 喜びも束の間…。
・「第15話」
 これより少し前。
 恋は監視員の女性に連れられて、キャンプ場を離れ、都市部の病院に行っていた。
 彼女はあの少年「サスピリ」の最初の「トモダチ」で、病院で次々と「トモダチ」を増やしていく。
 だが、彼女は他の子供たちに大人を襲わないよう指示していた。
 彼女はサスピリとある約束をしており…。
 その頃、糸井たちは坂本に教えられた抜け道を通り、本土に渡る橋の近くまで出る。
 しかし、彼らの行く手にはレーザー網が張り巡らされていた。
 更に、武装した連中のボス、アルカンタラが待ち構えていた…。
・「第16話」
 糸井は梅野たちを守るため、アルカンタラと一対一の勝負をする。
 その時、梅野の脳裏に糸井と出会った頃の思い出が甦る…。
・「第17話」
 アルカンタラの圧倒的な強さに糸井は瀕死状態に追い込まれる。
 アルカンタラがとどめを刺そうとした時、彼女に連絡が入る。
 それはあまりに絶望的な連絡であった…。

単行本B(「マンガTOP」2023年1月〜4月配信分収録)
・「第18話」
 アルカンタラは隼人に目を付け、サンプルとして連れ帰ろうとする。
 梅野は麻酔銃を構え、阻止しようとするのだが…。
 その頃、民自党の大久保広元は街宣活動を終え、事務所に戻る。
 スタッフを帰らせ、事務所でデリヘル嬢を待っていると、窓ガラスに投石が…。
・「第19話」
 大久保広元が外に出ると、ドアの影から子供たちが「いないいないばあっ」と顔を出す。
 子供たちは大久保にすり寄って来るが、彼の背後には…。
・「第20話」
 夜の町を走る街宣車。
 街宣車は「トモダチ」に「時は来た」「国を変えるチャンス」と訴える。
 その頃、史也の兄、北条知憲が史也を迎えに浜地島に来ていた。
 彼の車が島に通じる橋を渡った時…。
・「第21話」
 浜地島の橋が爆破され、同じ頃、琵琶湖にミサイルが着弾する。
 しかも、ミサイルの発射場所は浜地島にある成尾浜原発であった…。
・「第22話」
 アルカンタラは浜地島を占領し、独立国家になったと宣言する。
 一方、浜地島では至る所で火事・事故・殺人が多発し、大混乱に陥っていた…。
・「第23話」
 内閣総理大臣、福元豊は執務室で新型ウイルス対策の担当大臣、鍬田真澄を詰問する。
 その時、総理の直通電話にアルカンタラから連絡が来る。
 アルカンタラの目的とは…?
 その頃、糸井、梅野、史也の三人は車で町に向かっていた。
 史也のスマホに兄からの着信があり、梅野は彼に現状を説明する…。
・「第24話」
 糸井たちは町に出るも、大人たちは片端から石化していた。
 この奇病をもたらしたのは「ダゴン」という名の小さな女の子で、彼女に噛まれると体表面が硬質化し、しかも、これは感染する。
 ダゴンは糸井たちを「オトナ」と呼び、襲いかかってくるが…。
・「第25話」
 糸井たちとダゴンの前にサスピリと彼に率いられた子供たちがやって来る。
 ダゴンはサスピリの妹で、サスピリはダゴンに自分たちの仲間になるよう言う。
 しかし、ダゴンは「ママ」にサスピリを連れて帰るよう命令されており、サスピリに反感を抱いていた。
 兄妹喧嘩の真っ最中、その場に一人の男が突然、姿を現わす…。
・「第26話」
 男の名はオコエ。
 彼はダゴンに「ママ」の友達と自己紹介し、彼女の心を掴む。
 ダゴンは「ママ」からのプレゼントのくまのぬいぐるみに駆け寄るのだが…。
 オコエの正体は…?

単行本C(「マンガTOP」2023年4月〜11月配信分収録)
・「第27話」
 オコエの「仕事」はサスピリたちの抹殺。
 彼は付近に仕掛けてある時限爆弾を起動させようとする。
 糸井は彼を止めるのだが…。
・「第28話」
 史也の提案で、糸井たちはオコエと行動を共にすることとなる。
 彼らの目的地は「浜地島衛生研究センター」であった。
 そこで北条知憲と合流する予定であったが、その頃、知憲は子供たちの凶行を目の当たりにしていた…。
・「第29話」
 子供たちに追われ、知憲は精肉工場へと逃げ込む。
 ここで子供たちをまこうとするも、血痕のため、追い詰められてしまい…。
・「第30話」
 糸井たちは人の多い町を避け、郊外を車で行く。
 やけに人通りが少ないと思っていたら、蜂の大群に襲われる。
 これは虫同士を感染させることのできる「フェノミナ」の仕業であった…。
・「第31話」
 北条知憲は前後の通路を子供たちに挟まれ、貯蔵庫へと逃げ込む。
 ここならしばらく時間稼ぎができるが、極寒のため、長くはいられない。
 精肉用の刃物があり、知憲は子供たちと戦おうと考え、さっとドアを開けると…。
・「第32話」
 その頃、蜂の群れに追われ、糸井たちはホームセンターに逃げ込む。
 ところが、肝心のオコエがトンズラこいて、糸井たちだけで対処しなければならなくなる。
 ベニヤ板でバリケードを作り、蜂に突破される前に別の出口を探すのだが…。
・「第33話」
 オコエの機転により、糸井たちは難を逃れる。
 オコエの指示で糸井たちは資材倉庫へと向かうが、そこにも蜂が押し寄せる。
 オコエの作戦とは…?
・「第34話」
 糸井たちはオコエから「ママ」の正体を教えられる。
 「ママ」とサスピリの関係は…?
 そして、ラボで行われていたこととは…?
・「第35話」
 浜地島衛生研究センターで糸井たちは北条知憲と合流する。
 ここは山間部の立地のため、子供の姿はなく、彼らは施設で休もうとしたその時…。
・「第36話」
 オコエたちはその場から車で逃走する。
 すると、道の前方に何かの影が立ちふさがっている。
 これは味方か、敵か…?
・「最終話」
 本土に感染者が渡り、日本は壊滅的な状況に追いやられる。
 生き残った人々は各国の協力を得て、アメリカの空母で暮らしていた。
 大人、子供…それぞれの思いとは…。

 子供の集団が大人を殺戮する…と言えば、大傑作「ザ・チャイルド」や「チルドレン・オブ・ザ・コーン」(1984年版/冒頭は凄かった!!)が思い浮かびますが、「オフスプリングス」はそんなテーマに挑戦した意欲作です。
 ただ、壮大な内容ではあるものの、打ち切りにあったのか、四巻しかないため、説明不足なところが多く、結末もすっきりしません。(隼人くんはどうなったの?)
 あと、主人公を性同一性障害者にする必要はあったのでしょうか?(普通に、ヒロインで良かった気がします。)
 と、まあ、いろいろと引っかかるところはあるのですが、子供たちが大人を虐殺するシーンがゲロゲログログロの大盤振る舞いなので、とりあえずはオーライ!!
 しかも、「バーニング」(指をちょん切るシーン)、「血のバレンタイン」(頭部につるはし)、「フェノミナ」(昆虫の複眼視点)といった80年代のスプラッター映画を彷彿させるシーンが幾つかあって、個人的に好感度三倍満です。
 一般の方向きではありませんが、ホラー好きは読まれて損のない作品だと私は思います。

2025年4月21〜25日 ページ作成・執筆

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