児嶋都「おとめ図鑑」(2002年5月9日第1刷発行)

 収録作品

・「怪奇!!お化粧少女」(「ザ・ホラー」1998年8月号)
「桑原さやかと松田樹里絵は幼い頃から親友同士。
 中学校になった時、二人は同じ男子生徒、波多田を好きになる。
 しかし、成長期真っ盛りのさやかは「顔面ニキビ大炸裂女」になっていて、波多田と樹里絵が仲睦まじく過ごすのを陰で見つめることしかできない。
 そんな時、樹里絵、波多田の二人がさやかを映画に誘う。
 これを機に波多田のハートをゲットしようと、さやかはニキビを厚化粧でカバーしようとする。
 だが、うっかり化粧を落とさず寝込んでしまったため、顔中、おおただれ。
 映画の帰り、樹里絵と波多田が彼女の見舞いに訪れると、逆上したさやかが二人に襲いかかる…」

・「うしろ地獄」(「ホラーM」1997年12月号)
「どこまでも前向きな女の子。
 過去は決して振り返らず、明るい未来に向かってレッツ・ゴー!
 ポジティブ・シンキングの赴くまま、彼女は突き進むが、彼女の行く先々で…」

・「手首地獄」(「恐怖の快楽」1997年1月号)
「影のある女…男はそういう女に弱かった。
 そして、彼女の左手首の傷痕…そこに男は不幸や暴力を見出し、欲情をそそられる。
 しかし、女の個性のなさに、男はすぐに女に飽き、別の女に乗り換える。
 その後、結婚した男に、あの女から電話がかかってくる…」

・「バツイチゴール」(「恐怖の快楽」1998年8月号)
「マチ子の夫は、妖怪ねずみ男であった。
 ねずみ男は妖術をもって男前に変身し、瞳から放つ妖気光線〈ひとめぼれ〉で、マチ子のハートを盗んだのである。
 しかし、結婚後、ねずみ男の化けの皮はすぐに剥がれ、結婚生活は不毛となり果てる。
 マチ子は妖怪退治の決意をするが…」

・「だんな地獄」(「ザ・ホラー」掲載号不明)
「一目惚れで結婚したマチ子と呂美男(ろみお)。
 マチ子にとって呂美男は優しくハンサムな、自慢の夫!…であったが、三年後、夫は超デブりんになってしまう。
 表を一緒に歩くだけでも耐えがたく、ましてや、友人達には決して見せられない。
 遂に限界に達し、彼女は夫に本音を叩きつけてしまうのだが…」

・「怪奇大盛!肉子ちゃん」(「ザ・ホラー」2000年4月号)
「小学一年生の頃、マチ子、北村、日下の三人のクラスに、大森似久子という少女がいた。
 似久子はとってもおデブで、三人は彼女を「肉子」と呼び、いじめの標的とする。
 だが、ある時、いじめがエスカレートした結果、似久子は交通事故にあい、退院した後、転校してしまう。
 八年後、三人の前に、大森似久子が転校生として現れる。
 似久子は以前と変わってスリムで、可愛らしい少女へと成長していた。
 翌日、北村が行方不明となる。
 登校した似久子は何故か太っており…」

・「絵本怪談 〜女の花道〜」(「大恐怖」掲載号不明)
「お姫さまのもとに王子様が現れ、素敵な結婚をするという童話。
 でも、現実は…?」

・「童話地獄 〜人魚姫〜」(「ホラーM」1998年4月号)
「奥深い森の湖で、王子と人魚姫は出会い、一目で恋に落ちる。
 でも、二人は種族が違い、このままでは二人は結ばれることができない。
 そこで、王子は、通りがかった村娘の胴体を両断し、その下半身を人魚姫の下半身と付け替える。
 城に戻り、二人は晴れて結婚式を挙げるが、その夜、姫の下半身が村娘のもとに帰ろうと、ひとりでに走り始めてしまい…」

・「コックリさんの呪い 〜平成三人娘シリーズ〜」(「怪奇の館DX」1996年7月号)
「放課後の教室。
 ミチコは、コックリさんがいかさまであることを証明するため、マサコとキコと共に、こっくりさんを行う。
 三人に降りかかる「コックリさん」の呪いとは…?」

・「怪談マンドラゴラ」(「ホラーM」1997年5月号)
「新居に引っ越して一か月。
 ゆかりと両親は庭で奇妙な植物を見つける。
 それは、女性の形をした、伝説の植物、マンドラゴラであった。
 その夜、一家の夢にマンドラゴラが現れ、自分は、父親に殺された愛人が転生したものと告げる。
 翌朝、その夢を信じた母親は父親をマンドラゴラで毒殺。
 死体を庭に埋めるが、母親は明らかに狂気に蝕まれていた。
 そして、また夜を迎えるが…」

・「児嶋都 ヴァージニア・インタビュー」(インタビュー&構成/吉田比糸)

 じわじわと怖い恐怖漫画から、メルヘン、パロディー、ハート・ウォーミング、おポンチ・ギャグと様々なジャンルの作品をちりばめた単行本です。
 一番、インパクトがあるのは、そのスジでは高名な「バツイチゴール」でしょう。最初のページで呆気にとられました。正気の沙汰とは思えない発想です。
 また、皮肉とブラック・ユーモアの効いた「うしろ地獄」も傑作。この単行本で最も「怖い」作品だと私は思ってます。
 ちなみに、「童話地獄 〜人魚姫〜」は花輪和一先生、「怪談マンドラゴラ」は伊藤潤二先生の作風を取り入れているように感じておりますが、どうなんでしょうか?

2019年8月1日 ページ作成・執筆正

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