小島剛夕「餓鬼の惑星」(滝沢解・原作/1979年8月1日発行)
・「一之星 その名は愛!」
「全面核戦争により、荒廃した地球。
砂漠化した地上で、わずかに生き残った人類は、共食いをする「人喰い」に変わり果てていた。
その中で、十人程度の子供の引き連れる娘が一人。
娘の名は愛…」
・「二之星 悲しき処刑」
「儀(さだめ)と力の兄弟は二人だけで、野球博物館に出かける。
そこでミットとボールを見つけ、キャッチボールをする。
だが、砂嵐で視力を奪われ、力はボールを頭に受けて、死んでしまう。
そこに「人喰い」達が現れ、儀と力は襲われる。
その晩、愛は力の姿が見えないことに気付き、儀に力の行方を聞く。
儀は新宿のビルの辺りで見失ったと知らぬ存ぜぬの一点張り。
愛は力を捜しに行くのだが…。
一方、儀には変化が生じていた…」
・「三之星 朝顔が咲いていた」
「愛は、野に咲いた朝顔を口にして、意識を失う。
気が付くと、彼女は、太刀を持ち、黒紋付きを羽織った男に助けられていた。
彼は元・役者で、浪人の斬られ役だったお陰で、ピカドンを生き延びたという。
夜中には「人喰い」が活動するため、彼女は彼の棲家でもう一晩過ごそうとするが、彼は「人喰い」なのだろうか…?
その頃、子供達が立てこもる飛行機の残骸を「人喰い」の群れが襲撃していた…」
・「四之星 未知との遭遇」
「愛達はオアシスを見つけ、大はしゃぎ。
しかし、愛は何者かにさらわれる。
彼女の弟、勇がその後を追うと、江戸時代の町が目の前に広がる。
だが、彼らはどうも人間ではなさそうであった。
彼らの正体とは…?」
・「五之星 甦れ 大地よ!」
「諸事情により、愛と勇は、彼らの前で、セックスすることとなる。
しかし、勇は、姉とのセックスを拒否し、二人は火刑に処せられる。
絶体絶命のピンチの時…」
・「六之星 即身仏」
「砂漠の中で、愛は草の芽を見つける。
子供達とその辺りを掘ると、時計、電球、ゴムホースが出てくる。
状態がよく、この下には家が埋まっているらしい。
すると、砂の中から、奇怪な人々が次々と這い出てくる。
彼らの正体は…?」
小島剛夕先生の作品は名作だらけですが、この「餓鬼の惑星」はちょっと…いや、かなりアレ過ぎる内容で、絶句します。
原作が滝沢解氏という時点で、悪い予感しかしませんが、その予感通りのワヤクチャな内容で、正直、内容はあってないようなもんです。
最初の方はグロ描写の連続ですが、後半、突如、侵略SFとなり、のけぞります。(当時のSF映画を安直に取り入れているのが何とも…)
しかも、あまりに中途半端な終わり方で、カタルシスも何もあったものじゃありません。
そんな原作でも、小島剛夕先生は相変わらずの剛腕で律儀に劇画化しているのは、真にプロの仕事です。(どういう思いで描いていたのか気になりますが…。)
ともあれ、小島剛夕先生の劇画で最もグロい作品であることは間違いないと思います。(カニバリズム描写てんこ盛り)
「朝顔は咲いていた」での「人喰い」襲撃シーンは、「ゾンビ」映画のような雰囲気で、「ゾンビ」漫画としての見方もできるかも。
あと、ヒロインは終始、ほぼ全裸なので、「おっぱい」を堪能することもできて、個人的にはかなりお得な作品でした。
2021年11月23日 ページ作成・執筆