好美のぼる「霊感児」(1974年5月20日初版発行)



「三枝子の家に急に居候をすることになった青年、ナバタメ錦二。
 身許は一切わからず、しかも、常務が電車で知り合い、三枝子の父親に下宿を頼んだと言う。
 この謎の青年、ナバタメにはある特殊な能力があった。
 それは、激しい頭痛の後に、近い将来に起きる不幸な出来事や悲惨な事故を予知できるというものであった。
 彼は人命を救おうと東西奔走する。
 しかし、彼の予言を信じない人々が彼の前に立ちはだかる。
 また、彼を追うマスコミや、彼の能力を私利私欲のために使おうとする者もいた。
 ナバタメのさすらいの旅は続く…」

 好美のぼる先生が(恐らく)「オカルト・ブーム」に触発されて描いた作品なのではないか?と推測します。
 んで、内容は「予知能力を持った青年が『a hustle here and a hustle there』(注1)する話」です。
 もちろん、周りに理解者は少なく云々…な展開ですが、中盤、銀行強盗の仲間に間違えられて、留置所に入れられる描写がダルいです。
 尚且つ、人を救うためにあちらこちら走り回っているわりには、要領が悪すぎて、強硬手段に訴えることもしばしば…こういう人って、「予知能力がない人」にもいますよね…。
 というワケで、好美のぼる先生にとって「予知能力者」とはそういう存在でしかないらしく、それをもとにストーリーを作るという発想がどうもなかった模様です。
 そのため、消化不良気味の作品のように思います。
 ちなみに、ナバタメをお探しのマスコミの皆さん、ナバタメ錦二の特徴は、旅荷を先にくくりつけた、長い棒を肩に据えて、旅をしているのが彼ですよ!!

・注1
 ルー・リードの名曲「ワイルド・サイドを歩け」より引用。
 深い意味は全くなく、単に使ってみたかっただけです。

2017年2月22日 ページ作成・執筆

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