兆豪筋「リターン」(1991年12月25日初版発行)

・「プロローグ 廃墟」
「廃墟と化した町。
 廃ビルに隠れ住む男女が五人。
 下村コージと妹の静香は、食料を探しに、スーパーに出かける。
 そこで二人はモンスターに襲われるが、早川浩司という青年に助けられる。
 彼らは、生き残りの待つ廃ビルに戻るのだが…」

・「第一部 攻防戦」
「突如、現れたモンスターによって絶滅寸前まで追い詰められた人類。
 わずかな生き残りは、高い壁に囲まれた、元・米軍基地に立てこもっていた。
 そこで、救助された下村静香はモンスターの研究に従事し、浩司に想いを寄せる。
 ある夜、基地のゲートが解放され、基地内はモンスターによって殺戮の巷となる。
 基地にモンスターを侵入させた「秀」という人型モンスターの仕業なのだが…」

・「第二部 発端」
「モンスターが出現する以前のこと。
 秀、陽子、浩司は、誰も住まない洋館に集まる。
 十五年前、彼らは、洋館の地下にある迷路に入り込み、モンスターに追われる。
 三人はどうにか逃げきったものの、秀の妹の明日香は迷路に取り残されてしまったのであった。
 以来、三人は悪夢に悩まされ続け、ある夜、明日香の消息をはっきりさせる決意をする。
 直前になって、浩司はやめて、武装した秀と陽子が地下迷路へと降りる。
 そこで、二人は成長した明日香に出会うが、彼女はモンスターと化していて、迷宮のモンスターを地上に解放しようとする。
 陽子は明日香に殺されるが、駆け付けた浩司が明日香の首を斧で切断。
 彼らはどうにか地上へと脱出するが、明日香に殺された陽子もまたモンスター化する…」

・「第三部 リターン」
「基地をヘリコプターで脱出した浩司と静香は、ことの元凶となった洋館へと向かう。
 二人が地下迷宮に降りると、そこで、幼いままの明日香と、ガタノトーアという神を崇拝する女性と出会う。
 女性は、ガタノトーアを地上に復活させるため、浩司と静香を襲う。
 人類はガタノトーアの復活を阻止できるのであろうか…?」

 読んでいる間は、バイオレンス・アクション・ホラーとして楽しめるのですが、幾つか気になる点がちらほら。
 とにもかくにも、説明不足で、モンスターや、洋館の地下迷路ガタノトーアについての説明が一切ないのはイタ過ぎです。
 この時代のこの手の作品って、作者がやりたいことだけやって、説明なんか二の次…というものが多い気がしますが、何ででしょうか?(そこそこ楽しいのがクセモノ。)

2021年5月29日 ページ作成・執筆

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