わたなべまさこ「プルトンの息子たち」(1983年1月10日初版発行)

「白河里枝子は高校三年生の少女。(「ベイ・シティ・ローラーズ」の大ファン。)
 海洋学者である兄、白河龍の乗っている大和号を訪ねた時、機械が突如暴走、大和号は地球の中心目指して突き進んでいく。
 このままでは地熱で燃え尽きるものと思われたが、彼らが辿り着いたのは、ピンク色の太陽(プルトン)を持つ地底国であった。
 そこは地上では遥か昔に滅びた恐竜時代の生物や生き物がいまだ隆盛を極めていた。
 兄達とはぐれた里枝子は、ガルガルという恐竜と共生するエナという獰猛な種族に捕らえられる。
 牢屋の中で、里枝子は、ラララという少女と知り合い、互いに言葉を教え合う。
 里枝子の機転により、里枝子とラララはエナのもとから逃亡するが、ガルガルに追い詰められる。
 その時に現れたのが、ラララの恋人、ザガであった。
 ザガに助けられ、三人はモンモランの村に帰ろうとする。
 しかし、途中、ムンゴンゴの男達によってザガは傷つけられ、里枝子とラララはムンゴンゴの村に拉致されてしまう。
 里枝子は再び兄に会うことができるのであろうか…?」
(「少女コミック」掲載)

 わたなべまさこ先生による「地底旅行」(ジュール・ヴェルヌの小説の内容はすっかり忘れました)です。
 「地球空洞説」や「失われた世界」といった内容が盛り込まれ、「おおっ!!」と思っていたら、後半、地底人、ラララとザガとの三角関係に話が発展していき、またまた「おおっ!!」と思いました。(わたなべまさこ先生らしい話です。)
 ファンタジーと言えば聞こえはよいですが、ノリは「ジュブナイル小説」です。(でも、エロ・グロ描写、意外ときついです。)
 正直なところ、そこまで深みのある内容とは言い難く、安直と思う人も多いでしょう。
 ただ、この「わたなべまさこ的解釈」による幻想世界は、のびやかに描かれていて、魅力的だと私は感じます。
 ファンタジーの皮をかぶせてはおりますが、その実、わたなべまさこ先生の好みをぶち込んだものなのではないでしょうか?
 味わい深い作品です。

2017年1月12日 ページ作成・執筆

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