蕪木彩子「転校生」(1999年8月15日第1刷発行)
収録作品
・「転校生」(「ホラーハウス」1992年2月号)
「中学二年の清乃は、両親の海外赴任のために、おばの家に預けられる。
新しく通うことになった学校では、東京のシティ・ガール、かつ、名門学校出身の彼女は注目の的。
しかし、スケバン・グループに目をつけられたことから、彼女は陰湿ないじめを受けるようになる。
そんな時、彼女は、隣のクラスの真澄という少女と知り合いになる。
真澄も、清乃と同じ、転校生で、いじめられた過去があった。
遂には、清乃はスケバン・グループにミミズ入り稲荷を食べさせられ、真澄は「なんとかしてあげる」と約束するのだが…」
・「前世がわからない」(「サスペンス&ホラー」1992年夏号)
「ガリ勉に必死で、同じぐらい、プライドも高い真澄。
彼女は努力しない人間をバカにしていたが、特に、小学校の時の友人、道代を精神年齢が低いと毛嫌いする。
勉強のし過ぎで体育の授業で倒れ、気が付くと、彼女は「偏差値」ではなく「前世」で全てが決まる世界にいた。
そこでは、進学・就職・資格・免許等、全てにおいて「前世」が必要となるが、真澄は全く前世が思い出せない。
クラスでリンチにあいそうになった時、道代が彼女を助けてくれる。
道代は清乃の前世を教えてくれるが、清乃の前世とは…?」
・「女髪」(「ホラーハウス」1989年5月号)
「織江の母親は、義母であった。
織江の母親は、織江が小学生の頃、父親から離婚を乞われ、自分の髪を断った後に、自殺していた。
そういう悲劇を経ながらも、一家は仲良く暮らしていた。
織江が高校に入学した頃、櫛に自分のものでない髪がまとわりつき、寝室に髪がまき散らかされるという出来事が起きる。
それは、織江の母親の遺品である髪の毛であり、夢遊状態の織江がやったことであった。。
織江が母親の記憶を取り戻した時、「黒髪」に宿った女の怨恨が、時を経て、惨劇を巻き起こす…」
・「孤独な能力」(「あなたの恐怖体験Vol.15」)
「従姉の由美が、自分の部屋で頭が破裂して、亡くなる。
由実の死は、紺野という青年と別れた直後の出来事であった。
彼には奇妙な噂があり、彼と仲が良かった人間は、彼と喧嘩や諍いをした後、皆、怪死を遂げる。
紺野の不思議な能力とは…?」
・「キスされた女生徒」(「ホラーハウス」1991年12月号)
「ナオミは、恋人の雅彦に人形を幾つもプレゼントする。
雅彦はプレイボーイで、何人もの女に手を出し、泣かせてきた。
しかし、ナオミは彼のために小指を切り落とし、自分には呪いで人を殺す力があると脅す。
彼女の作った人形に囲まれ、雅彦は追い詰められていくのだが…。
ナオミの思惑とは…?」
・「虫食い」(「ホラーハウス」1991年6月号)
「中学三年のまるみは、甘いものが大好きの、おデブちゃん。
クラスメートの久保田貴一にほのかな想いを抱くが、体型のせいで、自分に自信が持てない。
ある日、彼女は、若くてスリムな女性に声をかけられる。
女性は、まるみに「好きなものを食べたいだけ食べてもやせる方法」があると話す。
一度は断ったものの、少しでもやせるならと思い、まるみは女性の家を訪ねる。
家の庭にはキャベツ畑があり、このキャベツの葉をすり潰して、飲めば痩せるらしい。
まるみは、その汁を飲み続けるうちに、皮膚の下で何かが蠢いているような感覚を覚える。
女性に相談すると、ダイエットに効果があるのは、キャベツでなく、それを食べる青虫であった。
この青虫は突然変異らしく、これを一匹食べると、確実に1キログラムは痩せると言う。
腹をくくった、まるみは、虫を飲んで、スリムになり、憧れの久保田貴一とも付き合うようになる。
だが、この虫にはまだ知られていない性質があった…」
・「怪しいアパート」(単行本「生体人形」への描き下ろし)
「蕪木彩子先生自身が体験した、心霊現象多発のアパートでの怪奇談」
2019年8月28日・9月9日 ページ作成・執筆