佐伊村司・作画/中山茂大・原作
「東京アンデッド・上」(2015年8月1日初版発行)
「東京アンデッド・下」(2015年8月1日初版発行)

 20XX年11月24日。
 東京の中央線に突如、ゾンビが現れ、瞬く間に、東京都に広がる。
 救助の見込みのない中、わずかに生き残った人々の選択は…?

 上巻
・「vol.1 猿−1」(「プレイコミック」2012年8月号)
 発生から23日。東京都墨田区。
 勝は、安全帯を使い、電線を伝い、電柱から電柱に移って、ゾンビから逃げのびてきた。
 生き残りは自分だけと絶望しかけた時、彼と同じように電線を伝う男と出会う。
 彼は孝司と言う名で、二人でマンションを襲おうと提案する。
 ファミリー向けのマンションの一室のベランダに降り、中に入ると、女子校生の首吊り死体がゾンビ化していた。
 そのゾンビに対して孝司は…。
・「vol.2 猿−2」(「プレイコミック」2012年9月号)
 勝は、孝司から話に聞いたベージュのワンルームマンションに行ってみる。
 そこには全裸の娘が拘束されていたが、かろうじて生きていた。
 彼女の名は小倉美沙で、二人は打ち解ける。
 しかし、食料はわずかで、外ではゾンビが増え続け、ここにいるのも危険。
 勝は、彼女と一緒に脱出するため、もう一つ安全帯を探しに出るのだが…。
・「vol.3 マンション−1」(「プレイコミック」2012年10月号)
 発生から16日。東京都江東区。
 あるマンションでは、組合長の浅川が的確な指示を出し、大きな混乱には至らずに済む。
 だが、身重の妻を持つ伊藤は、浅川が食料を使って、彼らをコントロールしているように思えてならない。
 ある時、会議の後、有志の人々(男ばかり)が残される。
 浅川は彼らに「外の連中を捕まえよう」と言うのだが…。
・「vol.4 マンション−2」(「プレイコミック」2012年11月号)
 どうにかこうにか女ゾンビの捕獲に成功。
 浅川は徹底した実験により、ゾンビの性質と弱点を明らかにする。
 そして、マンションにい続けては未来がないと、安全な場所への脱出を提言する。
 それは子供達のためであった…。
・「vol.5 マンション−3」(「プレイコミック」2012年12月号)
 マンションの正面玄関が破られたことにより、急遽、住民達はマンションから脱出することとなる。
 浅川はゾンビ達を陽動するために、一人、軽トラに乗り、大音量で音楽を流す。
 ゾンビが音に引き寄せられている間、住民達はマンションから非常階段から出て行く。
 彼らが向かう先は…。
・「vol.6 マンション−4」(「プレイコミック」2013年1月号)
 どうにか目的地には辿り着いたものの、多数のゾンビに追ってくる。
 皆を、そして、自分の赤ん坊を救うため、伊藤は単身、ゾンビの囮となる。
 運よく、トラックを見つけ、出入り口となる橋を塞ぐのだが…。
 その頃、浅川は、爆発音を耳にして、その方向へ向かう。
 橋は塞がっており、彼は死を覚悟するのだが…。
・「vol.7 死都」(描き下ろし)
 12月24日。東京都荒川区。
 ゾンビがひしめく地の上に、電線を伝い行く、一人の青年がいた…。

 下巻
・「vol.8 新世界」(描き下ろし)
 12月22日。東京千代田区。
 地下の駐車場にマサトとリョウの兄弟が立てこもる。
 他の人々は飢えと寒さで亡くなり、生き残りは彼らだけ。
 急速に衰えて行くリョウに、マサトは人肉を食べないかと尋ねるのだが…。
・「vol.9 発生−1」(「プレイコミック」2013年2月号)
 11月24日。
 吉田は中途採用二年目のマイホーム・パパ。(娘の愛夢・LOVE!!)
 得意先に見本誌を届けた帰り、新宿駅で、彼と、新卒二年目の松井は、血まみれの男が駅員や警官ともめているのを目撃する。
 昼のニュースは新宿暴動事件で持ち切り。
 更に、社員の一人が、血まみれの老婆に噛まれたと会社に戻ってくる。
 ところが、警察に電話がつながらず、救急車を呼ぼうとしたところ、部長に、この程度の怪我で早退するなと止められる。
 異変を察した主任がテレビを付けると…。
・「vol.10 発生−2」(「プレイコミック」2013年3月号)
 老婆に噛まれた社員の死。
 だが、彼は突如、立ち上がり、近くの同僚に噛みつく。
 また、会社の外には暴徒が溢れ、人が人を食べていた。
 このままでは家に帰れなくなると、吉田、部長、主任、要領のいい谷、OLの西沢の五人は営業車で脱出を図るのだが…。
・「vol.11 発生−3」(「プレイコミック」2013年4月号)
 どうにか吉田達は緊急避難待機場所の消防署に辿り着く。
 暴徒達は水が苦手らしい。
 また、暴徒に噛みつかれると、そこから感染して、おかしくなると言う。
 スマホがつながらない中、署の固定電話が貸し出される。
 吉田は我が家と連絡がつくものの、その時、我が家が暴徒に襲われていることを知る。
 家族のもとに帰るために、彼が下した決断とは…?
・「vol.12 発生−4」(「プレイコミック」2013年5月号)
 吉田は、何故か部長と二人で暴徒の群れの中を突破することとなる。
 彼らが目指すところとは…?
 そして、部長が行動を共にした理由とは…?
・「vol.13 波及−1」(「プレイコミック」2013年6月号)
 12月21日。東京都足立区。
 翔太と祐椛(ゆか/4歳)の母親は、食料を探しに行った際、ゾンビに噛まれる。
 彼女は、二人に食料を渡した後、マンションの部屋の外に出る。
 二人は残された食料を倹約して食べるが、それも一週間程度で尽きてしまう。
 大晦日の日、翔太は外で電線を伝う男を目にするが…。
・「vol.14 波及−2」(「プレイコミック」2013年7月号)
 外に生きている人がいるとわかったものの、誰も助けに来ないまま、1月3日。
 飢えにより意識朦朧とした祐椛は、ゾンビ化した母親を中に入れようとして、外に引きずり出される。
 翔太は意を決し、バットを握って、外に出るのだが…。
 そこで彼が出会った人物とは…?
 そして、人々はまた「前」を見て進み始める…。

 ゾンビ漫画はたくさんあり、情ないことにほとんどチェックできてないのですが、「東京アンデッド」は良作だと思います。
 大抵、この手のパニックものは、生き残りを賭けて、ドロドロしたドラマが展開されるものですが、この作品は「ヒューマニズム」が根底にあり、読後感は意外と爽やかです。
 特に、「マンション」のエピソードは何回、読んでも、素晴らしい!!
 残念なことに、二巻完結なので、その後のストーリーが非常に気になります。
 続編があれば、是非とも読みたいものです。

2022年1月10・11日 ページ作成・執筆

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