いのうえだいすけ「悪魔の墓標」(1976年6月15日初版発行)

「近未来の日本。
 とても人間の仕業とは思えない猟奇殺人事件が続発していた。
 ニウ・ポリス(国際警察)であるコムロ・レイは多忙を極め、休暇もなかなか取ることができない。
 そのことに、ブラ・コンの妹、ケイはかなりご不満な様子。
 だが、その休暇中、二日連続で、友人と昔の女友達が目の前で惨殺される。
 犯人は、巨大な悪魔であった。
 唯一の目撃者として、ニウ・ポリスのボスと共に犯人解明に取り組むが、その矢先、レイの両親が八つ裂きにされて死亡。
 唯一、ケイのみ、両親の肉塊の中に紛れて、助かっていた。
 ニウ・ポリスでは、犯人を割り出すべく、中央コンピューターに事件の全データを入力するが、コンピューターの答えは「ケイ」であった。
 レイとボスは、ケイを預けている、ボスの家に急行するのだが、そこで二人が見たものとは…。
 そして、今、ハルマゲドンが始まる…」

 ネタばれですが、「悪魔に憑りつかれた少女の凶行を描いたオカルト怪奇マンガ」から後半、突如として、「神と悪魔の対決」になるという、変わり種の怪奇マンガであります。
 ラストはキリスト教やスピリチュアリズムの要素が入り混じり、ワケがわからないながらも、なんちゅ〜か、凄いです!!
 まあ、永井豪先生の「デビルマン」の影響大なのかもしれませんが、いのうえだいすけ(井上大助)先生の手塚御大ちっくな絵にはやはり「性善説」がしっくりきますね。
 あと、この作品で有名なのは、残酷描写の凄まじさ。
 1980年代のスプラッター映画・ブームより前の1976年に描かれているのに、この流血量は半端ではありません。
 生首やバラバラ死体、内臓まで(丁寧な程)きっちり描写しており、作者の本気(マジ)がハートに直撃です。
 絵は手塚御大寄りですが、「魂(ソウル)」は永井豪先生寄りな印象を、個人的には受けました。
 ちなみに、設定は近未来なのに、映画館で「蛇女の恐怖」を上映しているのが、どうも解せない…。

2017年3月9日 ページ作成・執筆

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