鷹取ゆう「博物館の『怖い話』」(2023年12月25日初版発行)
・「第一談 邂逅」
「塚上歴史博物館(古代〜近現代の資料を展示。収蔵品は約五万点)。
椎名紫稀(しいな・むらさき)はここで民俗担当の非常勤学芸員として働くこととなる。
まず、学芸員主任の御影玄流(みかげ・しずる)に館内を簡単に案内してもらう。
展示室をざっと見てから、バックヤードに入り、エレベーターで地下の収蔵庫に降りる。
収蔵庫は「考古」「民俗」「文書」に分かれており、「民俗」の収蔵庫に入るが、その時、椎名は奇妙なことに気付く。
扉にはお札、また、足元には盛り塩がしてあった。
更に、御影から収蔵庫には必ず二名以上で来るよう注意されるが…」
・「第二談 悪寒」
「ある日の午前中、椎名は御影に展示室を回って、内容を頭に入れておくよう命じられる。
彼女が展示室を見て回っていると、中世のコーナーで凄まじい悪寒を背後から感じる。
振り向くと、頭部の上部が欠損した木製の仏像が展示されていた。
しかも、寒気を感じているのは彼女だけでなく…」
・「第三談 訪問者」
「ある雨の日、御影は古いお寺の境内の試掘調査の立ち合いのため、不在であった。
その間、椎名が未見の展示室とエントランスを一通り見て回ると、白いワンピースの娘に話しかけられる。
娘は長い黒髪の美人であったが、少しやつれていた。
娘は椎名に御影がいるかどうかを尋ね、椎名は今、外出中と答える。
すると、娘は「このたびはお世話になりました」と御影に伝えるよう椎名に頼むのだが…」
・「第四談 原因」
「椎名は御影と共に収蔵庫で資料のチェックをする。
すると、どこからかひそひそと話し声が聞こえてくる。
御影はどの資料が話しているのか調べ始め…」
・「第五談 覗くもの」
「椎名と御影の今日の仕事は新着資料の開梱であった。
これはある旧家の生活資料一式で、一括で寄贈されたのであった。
開梱の後、寄贈申込書に記載のない古い小型の仏壇が見つかる。
開けてみると中は空で、位牌などは全て取り出されていた。
椎名が中を覗き込むと…」
・「第六談 昔語り(前編)」
「ある時、椎名は御影に何故彼女が怖がらないのか尋ねる。
御影はその答えとして学部生時代、考古学研究会の発掘に参加した時の体験を語る。
発掘期間中、彼らは発掘現場近くの宿舎に泊まり込むが、ここは大正時代の建物で老朽化が激しいだけでなく、道の向かいは神社、隣は墓場という立地であった。
そのため、滞在期間中、奇怪な出来事の連続で…」
・「第七談 昔語り(後編)」
「クールな御影がこれまでで一番怖かった話。
それは発掘最終日での打ち上げでのこと、上級生が御影を肝試しに誘う。
場所は道のずっと先にある塚で、この塚は栄光を掴んだ後、転落し破滅的な最期を迎えた人物が祀られていた。
彼らは横並びで手をつなぎ、夜道を進むのだが…」
・「エピローグ」
「展示資料戻し作業中、椎名は御影にある質問をする。
事前にいわくがあるとわかっていて、資料を受け入れるのかどうか?という質問への御影の答えは…?
そして、椎名は学芸員としての『決意』を知る…」
博物館の学芸員さんたちが体験した「怖い話」を集めた本です。
言われてみると、学校と同様、博物館も夜中には得体の知れないものが蠢いていそうですが、実際にいろいろとあることがこのマンガでわかります。
博物館という場所柄故か、派手さには欠けますが、じわじわと禍々しい怪異譚が多く、特に「第四談 原因」は人形が苦手な人にはトラウマ級のエピソードです。
そして、博物館には博物館の怪異の個性というものがあり、博物館の資料に起きる怪異は「大抵はこちらに関心を示さない」(p123)という指摘が鋭く示唆に富んでおり、感心いたしました。
また、「怖い話」だけでなく、学芸員の仕事についても触れられており、普段、あまり縁のない世界ですので、とても興味深いです。
怪奇マンガとしてもコミックエッセイとしても楽しめますので、興味のある方は読まれて損はないように思います。(作者には他にも博物館の学芸員に関するコミックエッセイを描かれておりますので、機会があれば読んでみたいものです。)
2025年10月7日 ページ作成・執筆