児嶋都「おとめ地獄」(2001年9月26日第1刷発行)

 収録作品

・「美里ちゃんの奇病」(「怪奇の館DX」1997年9月号)
「平凡な少女、美里の左頬にできた吹き出物。
 それは痒みと共に、どんどん大きくなり、人のような形を取り始める。
 原因は不明で、医者も全く打つ手がない。
 美里は家に引きこもり、人面疽は肥大化するばかり。
 彼女に憑りついた人面疽の正体とは…?」

・「いじめ地獄 〜さいしょのひとり〜」(「ホラーM」1997年10月号)
「清美の転入した学校には、いじめられっ子がいた。
 それは鬼山毒子(おにやま・ぶすこ)という、非常に醜い娘で、全生徒のストレスのはけ口として、「なさけ・むよう」にいじめられる。
 転入生の清美も毒子をいじめるよう、クラスメート達に強制され、仕方なくいじめに加担する。
 その夜、清美は良心の呵責に苦しみ、明日、学校で毒子をいじめから救おうと決意するのだが…」

・「お肉地獄 〜因果ダイエット〜」(「ホラーM」1996年11月号)
「琢美(たくみ)は小さな頃からとってもおデブな女の子。
 彼女はおデブの家系で、両親も祖父母も皆、おデブ。
 お年頃の琢美はダイエットに憧れるも、両親に猛反対される。
 それでも、決意は固く、琢美は部屋に閉じこもり、徹底的に絶食しようとするのだが…。
 彼女が痩せてはならない理由とは…?」

・「おとな地獄」(「恐怖の快楽」1997年7月号)
「四十過ぎて授かった一人娘、フミ子(通称、フーミン)。
 甘やかしすぎたのがいけなかったのか、二十歳になっても、頭の中は子供のまま。
 外人に憧れ、顔はガングロ、目にはブルーコンタクト。男に注目されるため、高校時代の制服を着て、町場でいつも遊びほうけている。
 娘のことに頭を悩ます、初老の両親は、彼女と「同じ目線」に立とうとするのだが…」

・「ボール怪談」(「オール怪談」1997年9月号)
「病院で女性患者が医者に打ち明けた話。
 彼女は子供の頃、バラのマークが入ったピンク色の毬をとても大切にしていた。
 その毬は彼女の父親が外国で買ったものと周囲に自慢し、友人達から羨ましがられる。
 だが、ある日、リーダー格のちひろが彼女と同じ毬を持ってきて、その毬が横浜で売られている安物と暴露する。
 その夜、彼女はちひろを殺害し、毬を二つとも、空き地に埋める。
 彼女の犯行は誰にも気付かれずに今まで来たのだが…」

・「怪奇!包帯女学生」(「ホラーM」1996年10月号)
「主人公(名前わからず)と、くるみは大の仲良し。
 しかし、理科の実験中、くるみが顔に塩酸を浴びる事故が起きてから、全てが一変する。
 顔が醜く焼けただれた、くるみは主人公が突きとばしたと、彼女に絶えず付きまとい、責める。
 そのため、友人もできず、たまに男子生徒が話しかけてきても、くるみがその仲を疑って、男子生徒を殺してしまう。
 でも、主人公は、くるみがただただ哀れで、憎む気持ちにはなれない。
 と、一人、感涙にむせんでいる時、主人公は母親からある事実を聞かされる…」

・「視えてしまう少女」(「怪奇の館DX」1996年※月号)
「麻莉絵には「見たくもないとても恐ろしいものが見えてしまう」という特別な能力があった。
 町でボーイフレンドの留利男を待っている時、彼女の視界に入ってくる「恐ろしいもの」とは…?」

・「あの女は壁の中」(「恐怖の快楽」1997年9月号)
「ことあるごとに男を怒り、罵る女。  男は常に謝り続けてきたが、遂に、女を殺し、壁の中に塗りこめる。
 女とは別れたと周囲には説明し、新しい生活を始められると思ったのも束の間、壁のシミが気のせいか徐々に濃くなっているような…」

・「おとめ地獄 〜マリナとレオナの怪事件〜」(「オール怪談」1998年7月号)
「マリナとレオナはとっても仲良し。
 二人は何から何まで共通することばかりで、二人だけの完結した世界に生きる。
 ある日、二人の両親が同時に旅行に出かけることになり、二人は一つ屋根で生活することとなる。
 一緒に眠った翌朝、目が覚めると、二人の頬がくっついていた。
 二人は、神様に願った通り、「いっしょにいられる事」になるのだが…」

・解説/高橋明彦「視えてしまう少女 〜児嶋都がブレイクしない理由〜」

 この単行本では、奇想とバカバカしさ炸裂の「美里ちゃんの奇病」、鮮やかなオチの「おとめ地獄」が白眉ではないでしょうか?
 個人的には、「視えてしまう少女」、好きだなあ〜。何回読んでも、笑ってしまいます。

2019年7月31日 ページ作成・執筆正

その他の出版社・リストに戻る

メインページに戻る