好美のぼる「透視人間」(1977年1月20日版発行)



「宮城県のある村。
 農家の長男、伊吹新吾は二年前、屋根から落ちたことをきっかけに、透視能力を身に付けた。
 彼は、村医者の言葉に逆らって、父親を透視し、胃癌を発見。
 父親は発見が早かったため、一命を取り留める。
 彼の能力を頼って、家に村人が押し寄せるが、彼はその能力を使おうとはしない。
 しかし、元来が熱血漢の彼は、恋人の母親や自分の母親を透視して、病気を明らかにする。
 そこで困ったのが、お医者の先生達。
 町病院の院長を中心に、医者達は新吾を村から追い出すべく、結託する。
 母親の手術代と引き換えに、新吾は村から東京へと出ることを承諾。
 東京で、町病院の院長が紹介してくれた家へと向かうが、その家の主人は麻薬組織の大物であった。
 新吾は利用される振りをしながらも、陰で刑事と協力し、麻薬組織を壊滅に導く…」

 透視人間と言えば、「X線の目を持つ男」(米/1963年/ロジャー・コーマン監督)という名作がありますが、好美のぼる先生にかかると、同じテーマでも単純なサクセス・ストーリーになっちゃってます。
 まあ、それは作家の「資質」の問題であって、可否を論じても詮無い事です。
 ただ、ここまで「深み」というものがないと、それはそれで清々しい…のか…?
 所詮、「オカルト・ブーム」なんて、好美のぼる先生にはこの程度のものでしかなかったということでしょう。
 「エクソシスト」や「スプーン曲げ」なぞどこ吹く風、ただ何となく肌で感じ取った印象のみで「オカルト・マンガ」を描いたのではないか?と思ってます。

 ちなみに、ジャケット・イラストは後期のもののようです。(ちゃんと確認取ってませんが…。)
 「どんづる円盤」と同様、初期は味のあるイラストだったのに較べ、後期は「サイファイ」しております。

 
2017年6月22日 ページ作成・執筆

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