好美のぼる「妖怪合戦」(1969年8月15日初版発行)

 収録作品

「闇の眼少女」
 貸本の再録です。
 再録の際に、かなりのページが削除されております。(貸本版のページを参照のこと)
 ともかくも、何故こんな作品をわざわざ再録したのか、謎であります。

「鬼女(おにめ)」
 貸本の再録です。
 再録の際に、巻頭のストーリー・ダイジェスト(4ページ)が省略されております。

 貸本マンガとして出版された作品を二つ収めた単行本です。
 この単行本で最も味わい深いのは、袖に書かれた文章です。
 犬を抱いた好美のぼる先生の写真の下に、
「妖怪たちが合戦をはじめたのではありません。
 妖怪物を描いている作家の方たちへ挑戦しているのです。
『こんなに恐ろしい妖怪物が描けます。あなた方はどうですか。もっと恐いのを描いて見ることが出来ますか。』
 という意味ですが、実はそんなに恐くないのです。
 むしろかわいそうなんです。
 かわいそうな妖怪物があってもいいと思っています。」(全文掲載)
 他の漫画家を挑発しているのかと思いきや、ビミョ〜に尻すぼみになって、結局、何が言いたいのかわからない「曖昧な日本の私」な好美のぼる先生。
 好美のぼる先生が手塚治虫先生に凄まじいライバル意識を燃やし、質はともかく量は手塚治虫先生に肉薄するほどの作品を遺しました。
 ですが、手塚治虫先生以外に、水木しげる先生にも挑戦状を叩きつけていたとは知りませんでした。
 ただ、マイナーな出版社のマイナーな単行本の袖でいくら吠えても、その頃にはヒット作家になっていた水木しげる先生のもとにはちっとも届かなかった模様です。

・備考
 カバーの背表紙上部あたりに一部欠損。貸本として使用されたのか、後ろの遊び紙に書き込みあり。一部、割れ気味の部分あり。

2016年12月10日 ページ作成・執筆
2021年10月15日 加筆訂正

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