北杜太郎「呪法死文字」(1964年4月8日発行/200円)
「江戸の初期。
佐賀を治める竜造寺高房は暴君であった。
家老の鍋島直茂は度々忠言するが、高房の乱行は収まらず、遂には公儀の隠密、柳生但馬守(やぎゅうたじまのかみ)の目につくこととなる。
但馬守は、竜造寺家を取り潰し、鍋島直茂の息子、鍋島勝茂に佐賀藩を引き継がせようと考える。
その考えを聞いた鍋島直茂は、一計を案じ、高房の馬の飼料に興奮剤を混入。
朝の遠乗りの際に、高房の馬は暴走し、遂には、馬に蹴り殺されてしまうのであった。
竜造寺家には楓姫がいたが、嫡男がいず、お家お取り潰しは時間の問題。
そういう時、高房の奥方、お愛の方は、高房が謀殺されたことを聞かされる。
全ては、家老鍋島直茂とその息子勝茂のお家乗っ取りの陰謀だと言うのだ。
怒りと憎悪に燃える、お愛の方は、次期佐賀藩主たる鍋島勝茂を呪殺するために、侍女を連れ、丑の刻参りを行う。
ある夜、丑の刻参りの際に、お愛の方達の前に一人の男が現れる。
その男は梅竜軒という名で、呪法のプロであった。
梅竜軒はお愛の方に自分の屋敷で荒行をするように勧める。
お愛の方では都合が悪いので、娘の楓姫を毎夜、梅竜軒の屋敷に通わせることとなる。
そこで、楓姫は、この世の中であらゆる最上の汚物を煮詰めた汁を勝茂の名札に注ぐという呪術を行う。
数日後、鍋島勝茂は原因不明の高熱に伏せることとなる…」
半世紀前のマンガでありますが、なかなか面白いです
丑の刻参りなんか「時代おくれ」と、妙チクリンな呪法が出てきまして、ラストはやっぱり呪術合戦。
北杜太郎先生は一月に一冊のペースで文字通り「描きとばして」おりましたが、それにもかかわらず、この作品は絵も内容もそれなりの完成度を備えております。
絵に関しては、全体的に雑なのですが、それでもデッサンは的確なように思います。(まあ、絵のことはよくわからないのですが…)
佳作ではないでしょうか?
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。下部に水濡れの痕あり、また、湿気によるらしき本体の歪みあり。縛られていたのか、本体中央に曲がりあり。pp16・17、何かが挟まって、剥がれた痕あり。全体的に目立つシミ多し。pp117・118、下部に破れあり。前の袖部分、破れあり。pp63・64、中央に折れあとあり。
平成27年11月27日 ページ作成・執筆