湧井和夫「怪談めくら双紙」(150円/1961年7月15日発行)



「めくらの文弥は、姉と老母との三人暮らし。
 ある日、姉が、牛込に住む殿様のもとに奉公に上がることになり、百両の手当金が転がり込む。
 文弥は、その金で座頭の位を買おうと考えるが、座頭の位は百五十両必要。
 足らない分は、京に住む師匠が都合してくれるはずなので、彼は、江戸から京へと旅に出る。
 途中、藤屋という宿で、文弥は、伊勢屋の長兵エと知り合いになる。
 長兵エは親切な男であったが、京に金の工面に行くも、甲斐なく帰るところであった。
 彼は文弥が大金を持っていることを知り、借金を申し込むが、断られ、宇都谷峠で文弥を斬殺。
 江戸に戻り、商売を立て直したものの、文弥の祟りで、妻は憔悴し、娘は盲目になる。
 また、長兵エの前にも、文弥の怨霊が現れ、彼を責め苛む。
 そんな時、伊勢屋に、文弥の母親が、女中として雇われる。
 同時に、長兵エの悪行を知る悪党が長兵エを強請にやってきて…」

 ちゃんと確認をとっていないのですが、講談本か何かをもとにしているのではないでしょうか?
 セリフのテンポがよく、恐らく、丸写しだと思います。
 「骨は骨 皮は皮 もんでもんでもみころすのじゃ!」のセリフは、月宮よしと先生の「怪談座頭市」にもありました。
 「怪談座頭市」は、「怪談めくら双紙」とはまた違うストーリーで、もとの話を脚色した小説か何かをベースにしているのでは?と考えております。

・備考
 ビニールカバーの剥がし痕あり。カバーに貸本店の紙、貼り付け。後ろの遊び紙が最終ページ(p136)のノドに引っ付き、剥がれ。

2020年2月24・26日 ページ作成・執筆

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