池田弘「耳姫夜話」(150円/1961年7月25日発行)



「舞台は長崎県のあたり。
 ある雨の日、南蛮流外科医、嵐山甫安(らんざん・うらやす)は釣りから戻る途中、奇妙な舟を見かける。
 その舟の中には女性の首なし死体が横たわっており、そして、艫(とも)には、生首が黒髪で結わえ付けられていた。
 生首の両耳はえぐり取られ、嵐山がその首を持ち帰ろうとすると、陸で覆面の侍達に襲われる。
 何とか撃退するも、船頭が殺され、嵐山は生首と船頭の死体を家へと運び込む。
 実は、甫安は、身体の一部を別の人体へと移植する実験をしていた。
 彼は、船頭の死体から耳を切り取り、生首への移植を成功させる。
 だが、その生首は何者かに奪われてしまう。
 一方、お文と、赤鬼の金兵エの二人は、真一郎という侍と出会う。
 真一郎は、お文に、松浦藩の城に女中に行くよう頼む。
 その目的は、家来にも顔を見せたことのない弓姫の顔を見てくるというものであった。
 お文が承知した後、真一郎と金兵エは江戸中の医者を訪ねて歩く。
 二人が、嵐山甫安の家を訪ねたところ、中はもの凄い有様で、瀬尾三信という医者の死体があった。
 嵐山が瀬尾を殺したかに思われたが、瀬尾は家老によって城に連れ込まれて以来、音信不通だったらしい。
 お文からの連絡が途絶えたことから、真一郎と金兵エ、それに、瀬尾三信の息子、正次郎の三人は城へと乗り込むのだが…。
 松浦信秋の娘、弓姫の秘密とは…?」

 厳密に言うと、怪奇マンガではないのですが、印象的なグロ描写や「マッド・ドクター」が盛り込まれているので紹介してみました。
 それにしても、姫の不具や病気を治すために、若い娘を次々と実験台にして殺すという話は元ネタがあるんでしょうか?

・備考
 カバー貼り付け、また、裏表紙のカバーには書き込みあり。糸綴じあり。前の遊び紙、痛み、また、p1に裂け。pp101・102、コマにかかる欠損。

2020年8月15日 ページ作成・執筆

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