湧井和夫「濡れ髪灯篭」(1962年1月20日発行/160円)



「浪人の深谷は、新しい家に移ってから、夜、熟睡できない。
 ある夜、彼が庭に出てみると、石灯篭の前に、女の幽霊を視る。
 女幽霊の歳は18歳ぐらい、黄八丈に黒繻子の襟、市松模様の帯を締め、黒髪を振り乱して、彼を見つめていた。
 翌日、彼は、女幽霊が、お京という娘に似ていることに気付く。
 お京は、隣に、姉とその夫の伝蔵と共に住んでいたが、今は大阪にいるはずであった。
 奇怪なことはこれだけにとどまらず、彼は自分が市子(イタコ)と千里眼の能力に目覚めたことを悟る。
 彼は、お京の幽霊とどうにかコンタクトをとろうと努め、女幽霊がお京であることを知る。
 お京の死には、どうも伝蔵が関わっているようなのだが…」

 オカルト漫画の元祖の一つと言っていいのではないでしょうか?
 市子(イタコ)の能力を持つ侍を主人公にして、自動筆記や降霊シーン(口寄せ)もあります。
 んにしても、この降霊シーン、味があっていいなあ…。

・備考
 カバー痛み。前後の見返しの上下にパラフィン紙貼りつき。pp43・44、下部にコマにかかる裂け。ラスト付近でページが留め金より外れ。後ろの遊び紙に貸本店のシールとその剥がし痕あり。

2021年1月17日 ページ作成・執筆

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