北杜太郎「怪刀ちぎれ雲」(1963年10月16日発行/190円)
「江戸時代。ところは新発田。
碁のいざこざから、岡新兵エを斬った赤丸弥七郎。
仇を討とうとした息子の新一郎の片手も斬り落とし、弥七郎は家老により新発田城の櫓に監禁される。
大人しく沙汰を待っている弥七郎の前に、戦国時代にこの城で自害した新発田因幡守(しばたいんばのかみ)の亡霊が現れる。
亡霊は、新発田家の家宝であった怪刀ちぎれ雲が暴れるために、成仏できないので、この刀を恐山にある魔刀塚に持っていくよう、弥七郎に依頼する。
一度は断るが、亡霊たちによって妙な薬を飲まされると、猛烈な苦しみが弥七郎を襲う。
この苦しみは恐山でちぎれ雲を葬るまで続くと亡霊は弥七郎に言う。
結局、弥七郎は要求を飲むしかなく、怪刀を手に、城を脱走。
家老に恐山にて仇討ちを受けると告げ、弥七郎は一路、恐山を目指すのだった…」
北杜太郎先生の好きな「妖刀」ものであります。
妖刀ものの逸品には、黒岩一平名義の「魔風吸血剣」がありますが、それと並ぶ出来です。
ただ、こちらの方は、ストーリーが弱く、盛り上がりに欠けます。
ラストも後味が悪く、すっきりしない終わり方をします。
また、残酷描写も幾分控えめで、派手な殺陣描写は大してありません。
が、そこを「奇想」一発で帳消しにします。
この作品に出てくるちぎれ雲は「蛇剣」というものでありまして、刀から蛇へと変身するのであります。(これに関する説明は一切ありません。)
蛇へと変化(へんげ)した怪刀と犬が対決する描写は、今現在から見ても、ビジュアル的に非常に優れているように思います。
いやはや、半世紀前のマンガとは思えない、ぶっ飛んだ「奇想」とそれをきっちり絵にする画力、並みの才能ではありません。
とりあえず、どんなものなのかは以下の画像で御覧くださいませ。
・備考
状態かなり悪し。カバー欠。糸綴じあり。全体的に水濡れの痕ひどし、また、それによる本体の歪みあり。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2016年1月1日 ページ作成・執筆