坂上泰夫「魔女」(1960年2月5日発行/150円)
「老中阿部伊勢守(1819〜1857)の城下町(備後国福山藩?)。
夜な夜な子供のもとに闇姫が現れ、様子を見に行った大人が喰い殺されるという事件が起きる。
鶴松(阿部伊勢守の嫡男)に仕える田代十左はそれを聞き心配するが、殿は大して気にもとめない。
その夜、殿は若君の鶴松の寝室からキチガイじみた笑い声を聞く。
しかし、十左には何も聞こえず、彼が先に寝室に入り、鶴松の寝顔を確かめていると、殿には彼が妖女に見え、いきなり斬りかかってくる。
十左は殿を取り押さえようとすると、妖女の顔が殿の顔に噛みつき(?)、殿はケガを負う。
これのために、十左は妖怪と疑われ、刺客の手によって殺害される。
一方、十左の息子、敬之進は医学の勉強のため、長崎に滞在していた。
ある日、浜辺で女性の巡礼を虚無僧たちが襲うのを目にする。
親友の信吾と共に巡礼を救うが、その夜、再び虚無僧たちの襲撃を受け、敬之進と巡礼は舟で逃げる。
嵐に巻き込まれ、敬之進が目覚めると、そこは見知らぬ島であった。
近くの民家を訪ねると、親切にもてなしてくれるが、一休みしている間に監禁されてしまう。
そこは隠れキリシタンの島で、巡礼は島民の崇拝する月姫だったのである。
洞窟に潜入した敬之進は捕らえられ、磔にされるが、月姫の機転により助かり、舟で島を脱出する。
とりあえず、彼は故郷の伊勢に帰ろうとするのだが…。
その頃、阿部伊勢守は国での妖怪騒動に耐え切れず、江戸へ出てくる。
すると、今度は江戸で妖怪による被害が頻発。
闇姫は阿部伊勢守に恨みがあるようなのだが、その理由とは…?
そして、月姫の正体は…?」
坂上泰夫作品ではお馴染みの「怪異の裏側にお家騒動」というパターンです。
この作品に関しましては、話がめまぐるしく展開するので、把握しづらいのが難点。(あと、いつものことですが、登場人物の顔がほとんど一緒で、見分けがつかない…。)
その代わりと言っては何ですが、怪奇色は濃いめで、印象的なショッキングな描写が幾つかありますので、そこは評価できます。(注1)
今となっては素朴な絵柄ですが、妖女が子供の生首をくわえているシーンなど、リアルでなくても、結構不気味です。
・注1
真ん中の画像は「ジョーズ」の男性の片脚が沈んでいくトラウマ・シーンを彷彿させて鬱…。
・備考
カバー貼り付け。カバーの痛みが激しい(落としたら、衝撃で背表紙が分解して取れちゃった…)。前後の見返しのノドに紙テープにて補強。裂け、痛み、汚れ、シミ、多々あり。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2024年11月16・19日 ページ作成・執筆