星由樹「蓮の沼においで」(1992年6月7日初版発行)
・「蓮の沼においで」(「月刊ホラーハウス 91年8月号」掲載)
「霧の深い日、蓮の咲き乱れる沼のそばで、坂上京香は、人形を拾ったことをきっかけに、舞という少女と出会う。
町に引っ越してきたばかりの京香は、同じく一人ぼっちと言う舞とお友達になる約束をする。
毎日、一緒に舞と遊ぶ京香を、舞は帰らないようせがむ。
仕方なく京香は次の日、舞の所に行くことを約束するのだが…」
・「扉のかげに」(「月刊ホラーハウス 90年8月号」掲載)
「相沢梨乃は、少し開いたドアをひどく怖がる女子高生。
理由は、ドアの隙間からお化けが覗いているからだと言う。
しかも、梨乃がきっちりドアを閉めていても、いつの間にかドアに隙間ができている。
ドアの隙間から梨乃を窺うものの正体は…?」
・「その顔がほしい」(「月刊ホラーハウス 91年3月号」掲載)
「倉橋哲郎と杉山美桜は恋人同士。
しかし、哲郎のクラスメート、柴崎三津子は哲郎に夢中で、ストーカーまがいの行為を繰り返す。
業を煮やした哲郎は、三津子に迷惑をしているとはっきり告げ、彼は「美桜の顔が一番好き」だと言う。
その夜、整形手術を親に反対された三津子が、自分の顔を包丁で切り刻んでしまう…」
この手をマンガを読むと、ささやななえ先生の「生霊(いきすだま)」の影響の大きさに感じ入ります。
また、ちょっぴり「ボディスナッチャー」が入っているのも、嬉しいところです。
・「子供たちのいる森」(「月刊ホラーハウス 91年6月号」掲載)
「美術部の合宿で、ある湖を訪れた中川安奈。
湖に通じる森の道で、安奈は「花いちもんめ」で遊ぶ六人の子供を目にする。
そして、その歌う内容と同様の事故が続いて起きる。
安奈は、花いちもんめをする子供達が自分にしか視えていないことに気づくが…」
・「鬼」(「月刊ホラーハウス 91年10月号」掲載)
「文化祭での展示のため、写真撮影にある神社を訪れた、写真部の一行。
彼らは、神社の境内にあった石を誤って壊してしまう。
彼らは黙ってその場を後にするが、駅で一行のうちの女生徒が頭が破裂するという惨事が起きる。
彼らは後になって、その神社にあった石には、昔、暴れた人喰い鬼が封印されていたと知るのだが…」
余談ですが、頭部が破裂する女生徒の描写は「スキャナーズ」と見せかけて、実は「ザ・パワー」(1980年のアメリカのホラー映画)とか?
顔がぼこぼこ変形するシーンでのみ高名だった映画ですが、写真で見ただけで、映画は結局、未見であります。
詳しい方がおられましたら、一度、意見をお伺いしたいものであります。
・「恐怖実話その1 星の部屋へおいで」
・「赤い服でやってくる」(「月刊ホラーハウス 91年12月号」掲載)
「神社に、演劇部公演で演じたオフィーリアの格好でやってきた原田璃絵(あきえ)。
しかし、それは生意気な原田璃絵(あきえ)をからかおうと、三人の女子生徒が偽のラブレターで呼び出したのだった。
真相を知り、三人に掴みかかる璃絵を突き飛ばした拍子に、璃絵は岩で頭を割って死んでしまう。
璃絵の死体をこっそり埋めて、三人はこのことを口外しないようにする。
が、クラスメート達が何人か赤いドレス姿の彼女を見たと言う。
璃絵が神社にやって来た時には、白いドレスを着ていたはずなのだが…」
・「恐怖実話その2 星の部屋へおいで」
・「夜歩く」(「月刊ホラーハウス 92年3月号」掲載)
「通っていたピアノ教室の女教師が、結婚を期に町を去るというので見送りに来た藤井棗。
藤井棗は、女教師から彼女が子供の頃から大切にしていた西洋人形をもらう。
が、その夜から、部屋の中を誰かが歩き回っているような音がするようになる…」
・「恐怖実話その3 星の部屋へおいで」
ぱっと見は普通の少女怪奇マンガといった感じですが、グロ描写を頑張っているところに好感を持ちます。
特に、「鬼」「赤い服でやってくる」「夜歩く」の三作はなかなか楽しく読めました。
その中でも、「鬼」は予想以上にヘビーな残酷描写が冴えて、個人的には佳作と考えております。
平成27年6月13・14日 ページ作成・執筆