つじいもとこ「迷宮入」(1987年12月9日初版・1991年3月15日5刷発行)
・「迷宮入」(「ホラーハウス 1987年8・9月号」掲載)
「高校三年の夏休みに企画した合宿勉強会。
最後の夜に肝試しが行われる。
身元不明の首なし死体の墓が目標地点だったが、そこで三組の男女(小泉伸一&長沢瑛子/橋本&ミチエ/谷沢&小早川)が謎の空間に呑み込まれる。
闇の中には、ネズミのような生物が無数にいて、真っ先に小早川が餌食となる。
残りの五人は脱出口を探すが、出口と思えたものも、第二次世界大戦のヨーロッパや宇宙空間、または別の異世界に通じており、もとの世界に戻れない。
一人、また一人と死んでいき、小泉と長沢だけになった時、ここがどういう場所か気づく。
彼らはここから脱出できるのであろうか…?」
・「撃たれる男」(「ホラーハウス 86年12月号」掲載)
「平凡で、小心者の少年。
彼は悪魔に取引を持ちかけられる。
ベーゴマ一個、飛行機の模型、家族のアルバム…そういうささやかなもので、悪魔は一つ一つ、彼の願いを叶えてくれる。
多くのささやかなものを失い、多くの「幸運」を得た彼は、友人の妹を手に入れる為、友人を死に追いやる。
その代償として、彼が悪魔に提供したものは、彼の「良心」だった…」
・「迎えの声」(「ルージュ 86年9月号増刊号」掲載)
「遊園地の海賊島へ入る、夫婦とその娘、そのペットの犬、結婚を目前にしたカップル。
彼らがボートで回っていると、海賊島のテントに雷が落ちる。
停電で動かなくなったボートの前に、巨大な目を持つ光が現われる。
その目を持つ光は、悪魔の大王を迎えに来たと言う。
そして、起こる殺し合い…」
・「そして めぐる冬」(「プチフラワー 81年冬の号」掲載)
「中学生の永田瑞樹は幼い頃、小猫を家族に内緒で飼おうとするものの、事故で猫を踏み殺したという過去があった。
ある時、妹が子猫を飼おうと言い出す。瑞樹は嫌だが、家族の誰も反対をしない。
踏み殺した猫のことを絶えず考え、神経質になった瑞樹は周囲と軋轢を起こすようになる…」
・「キョーフ体験っ!!」(「ホラーハウス 87年7月号増刊」掲載)
つじい先生の体験した恐怖体験に関するエッセー風マンガ。
・「キョーフ体験っ!!爆笑編」(「ホラーハウス 87年9月号増刊」掲載)
同じく、つじい先生の体験した恐怖体験に関するエッセー風マンガ。かなり笑いました。
ウルトラ・ヘビーな作品から、甘めの作品、味のあるエッセーと、なかなかに粒揃いの作品集。
「迷宮入」のヘビーさは、柿崎普美先生の「歪んだ町」に匹敵すると、個人的に思います。
・備考
ゾッキ本(小口下部に赤いマジックで線引き)。
2015年1月22日 ページ作成・執筆
2022年1月31日 加筆訂正