谷間夢路「絶叫学園」(1992年7月5日初版発行)
・「呼びに来る」(「パンドラ'88年6月号」掲載)
「ある夜、由起は、窓の外から死人が彼女を呼ぶという夢を見る。
翌日、由起は、親友のみどりと敏子、男友達二人の計五人で、ハイキングに出かけることが決まる。
ハイキング前日、由起の家にみどり、敏子が泊まりに来る。
夜中、由起とみどりは、窓の外から死人に呼ばれる夢を見る。
呼ばれるままに、家の外にさまよい出た二人の前に、死人が現れ、みどりは襲われる。
驚いた由起が目を覚ますと、ベッドにはみどりの姿はなかった。
次の日、みどり不在なまま、四人がハイキングに出かけると、木に引っかかった、みどりの無惨な死体を発見する。
すると、みどりの死体が動き出し、四人に迫る。
彼らは山小屋に逃げ込むが、みどりの死体は執拗に由起を狙う。
どうやら、敏子がこの怪現象に関わりがあるようなのだが…」
・「悪霊の子守唄」(「パンドラ'90年6月号」掲載)
「京子の学校に、26歳独身かつイケメンの男性教師、緒方が赴任してくる。
だが、一か月が過ぎた頃、京子は度々、怪奇体験に見舞われる。
その際にはいつも、骸骨の子供を抱いた、白装束の女性の幽霊が現れ、子守唄を歌っていた。
登校途中、京子は緒方にこのことを相談すると、彼も同じ体験をしていた。
その時、どこからか、幽霊の歌う子守唄が聞こえてくる。
この母子の幽霊の正体は…?…」
・「目の怪」(「パンドラ'89年3月号」掲載)
「目の不調に悩む美湖は、病院から帰る途中、バラバラ死体を遺棄する現場に遭遇する。
その際に、犯人の顔を見た美湖は、以来、何者かに狙われる。
また、間の悪いことに、目の調子が悪化し、彼女は病院に入院することとなる。
だが、犯人は、彼女の担当医の弟であり、美湖を失明させようと目論むのだが…」
・「不良幽霊」(「パンドラ'90年3月号」掲載)
「ある港町で次々と起こる、幼女の失踪事件。
手口は、民家の床下で急死した、手配中の変質者と同じ手口であった。
ある日、下校途中、リエは蟻人間に襲われる。
リエは幼女失踪事件は蟻人間の仕業と信じ、駐在所に赴くのだが…」
・「人面犬の謎」(「少女フレンド特別増刊サスペンス&ホラー'90年4月号」掲載)
「人面犬の目撃情報を受け、新聞部の由起は、仲間と共に、夜中、取材に出かける。
だが、編集長により、人面犬の噂はガセだと判明。
これにより人面犬騒動は収束するが、ある夜、下校途中の由起は人面犬の群れを目にする。
人面犬を追い、由起は森に入り込むと、そこでは、生首が宙を舞っていた。
人面犬の正体とは…?」
・「霊能少女A」(「少女フレンド特別増刊サスペンス&ホラー'91年1月号」掲載)
「身勝手な行動のために、クラス中から嫌われる中田律子。
だが、事故を予告したことをきっかけに、彼女はクラスメートから霊能少女として脚光を浴びる。
また、轢き逃げされた後に埋められた死体を発見して以来、彼女に次々と霊障の相談が舞い込むようになる。
ある日、ただ一人、律子の味方だった由起は彼女を呼び出し、これ以上、心霊に深入りしないよう頼む。
実は、律子に霊能力はなく、実際に霊能力があるのは由起の方なのであった。
律子は由起に反発し、由起は逆にクラスメート達から孤立。
そんな時、きれいな女性が律子に仲間を助けるよう求めに来るのだが…」
・「ミイラ少女」(「少女フレンド特別増刊サスペンス&ホラー'90年8月号」掲載)
「由起と父親は洋館に引っ越してくる。
洋館の前の持ち主は外国人の考古学者で、由起の父は家の地下でピラミッドの遺跡を発掘する。
遺跡からは、エジプト文明の遺物「ホルのうずくまった像」と同じものも出てくる。(ちなみに、舞台は日本です。)
その像の中には、腐乱した少女のミイラが収められていた。
だが、由起が学校に行っている間に、父親が落盤で意識不明の重体となる。
ミイラの呪いを恐れた由起は遺跡を埋め直そうとするが、少女のミイラも像も消えていた…」
1980年代後半〜1990年代初頭の作品を集めた短編集です。
個人的に、気になったのは、1980年代のホラー映画からのトレースの多さ。
以下に、わかるものだけ挙げてみました。(他にもあるかもしれません。御存知の方は教えていただけますと、幸いです。)
・前袖のイラスト、p8→「死霊伝説」
・「呼びに来る」p7、p9→「スペース・バンパイア」のゾンビ
・「呼びに来る」p7→「ゾンバイオ 死霊のしたたり」の学部長
・「呼びに来る」pp22・23→「ゾンバイオ 死霊のしたたり」のヒル博士
・「呼びに来る」pp32・34・35→「CHUD」
・「呼びに来る」pp35・36→立ち姿は「サイレント・マッドネス」?
・「目の怪」p74→「バスケット・ケース」の女医
・「不良幽霊」pp96・99・105→「バタリアン」のフレディ
・「不良幽霊」p107→「ゾンバイオ 死霊のしたたり」のゾンビ
・「人面犬の謎」p139・153→「ゾンビ」のロジャー(ゾンビ化した方)
推測ですが、谷間夢路先生は、近代映画社の「スクリーン臨時増刊 THE HORROR MOVIES」(1985年頃)を参考にしたのではないでしょうか。
まだまだ考証が足りず、推測の域を出てはおりませんが、あながち間違いでもないように思ってます。
左側の雑誌タイプの本は「スクリーン臨時増刊 THE HORROR MOVIES PART2」(1985年11月5日発行)。(「PART1」は未入手。他にもあるのかな?)
これを再編集して、「スクリーンネオブックス」として単行本化したものが左から二番目から右までの四冊です。(1986年3月・5月に発行)
当時、ビデオ発売されたホラー映画をメジャーなものからマイナーなものまで幅広く紹介しており、非常に参考になります。
・備考
背表紙色褪せ。
2018年6月5日 ページ作成・執筆