いばら美喜「悪魔のメモ」(220円/1966年前後の5月頃と推測)

 元祖「デス・ノート」なのでしょうか?

「悪魔のメモ」は、幸せな人間な見るとぶっ殺さずにはいられない魔女と、それを追う自称マドロス(船乗り)紅達也(くれない・たつや)の活躍を描く中篇です。
 何で船乗りが魔女なんか追っかけいるのかよくわかりませんが、前作「面よごし」ではネズミの化け物と戦っていたので、いばら先生の頭の中では行け行けゴーゴーなのでしょう。
(一般的には、当時の日活ヒーロー系はマフィアとか密輸団とかとドンパチしていることが多いような気がします…)
 その意外さというか、破天荒さというか、でたらめさというか…が20冊以上の人気作となったの秘訣なのかもしれません。
 とりあえず、粗筋を追ってみましょう。
 物語は、自称海の男、紅達也が海をなつかしがるシーンから始まります。
(船乗りなのに、サーカスに勤めています。理由は…このシリーズの前半をほとんど持ってないので、不明です…。)
 近くで、火事が起こったので、現場に行く紅達也。
 燃え盛る家の二階に人影を発見し、助けようと危険を顧みず二階に向かうのですが、そこには火事にも関わらず、ソファーに座っている、黒マントの老婆が…。
 老婆はおもむろに懐から紙を出し、それを引き千切ると、家が真っ二つになってしまいました。
 何とか危機を脱した紅達也が偶然に手に入れたメモには、黒マントの老婆が殺す予定にしている人物の名前を記されておりました。
 前述したように、この黒マントの老婆は魔女で、幸せな人間を皆殺しにするために町から町へと旅を続け、この町にやってきたのです。
 魔女には不思議な力があり、手持ちの紙を用いて、いろいろと術をかけることができます。(マンガ中に説明がないため、推測で書いています。)
 メモに名前を書かれている人を救おうとする紅達也。
 そして、虐殺につぐ虐殺…。
 初めて勝った宝くじの一等、二等、三等が一気に当たったおっさん
上半身と下半身が真っ二つ。死体の横で札束をたき火にくべる魔女。
 東大に合格した、金持ちのボンボン
→ドライブ中に、魔女がボンボンの彼女にとりつき、運転を誤らせ、車ごと崖からまっさかさま…炎上。
 世界新記録を出した、水泳少女(スクール水着がいい感じ)
プールの水を沸騰させ、煮殺す。(その次のページで、『じゅー じゅー』と沈んでいってます。油で揚げているのと違うんですが…)
 玉の輿に乗ったお嬢さん
婚約者とちゅ〜している最中に、杉の木もろとも真っ二つ。(この発想は天才だと思いますね。)
 片端から皆死んでいきますが、紅達也は魔女を追い詰めていきます。
 そこに、事故死したボンボンの母親が現れます。
 姿をくらまそうと、その母親にとりついた魔女ですが、一人息子を失い、絶望した母親は列車に飛び込み、母親もろとも魔女は轢殺されてしまうのでした。
 おわり。

 ……主人公、いまいち役に立ってないんですが…。

 そういうマンガなんです。
 この紅達也シリーズを10冊程度持っているのですが、基本的なスタンスはまったく一緒です。
 他の作品も確認したいのですが、入手できるかどうかは神(僕の場合は、貧乏神)の御心にお任せするだけです。
 僕の人生に必要なものならば、目にする機会もあるでしょう。
 そして、こんな与太話をする機会もあるでしょう。
 またこんな与太話をする機会があることを祈りまして。

 あと、本編の後に「肖像画」という小品が載っております。
「骨董品集めが趣味の親父さんの悩みは、十八歳の娘のこと。
 あまりにおデブで、まさしく「丸太の女」。
 ある日、親父さんは骨董品屋で、痩せぎすの魔女を描いた絵を見かける。
 これを見れば、娘の食欲が抑えられ、痩せられるかもしれないと思い、買って帰るが…」
 いばら美喜先生の描く女性は、ぽっちゃり気味でもそれなりに美人であることが認識できます。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。

平成22年10月初旬 執筆
平成25年7月4日 改稿・ページ作成
平成27年10月25日 改稿・ページ作成

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