いばら美喜「疫病神」(220円)



「M県菅谷町寄居。個数三十戸あまりの寒村。
 その村に、疫病神がやって来た。
 午前二時頃、村をうろつく疫病神に見られた者は、家族や財産に災難が降りかかる。
 ある青年は火事で家族全員を失い、また、三人目の子供を授かった父親は二人の子供の目を片方ずつ取られ、産まれてきた赤ん坊を四つ目にされてしまう。
 村人達は疫病神をやっつけようとあれこれ知恵を絞るが、ことごとく返り討ちにされる始末。
 なすすべもなく被害が広がる中、家族を失った青年と独り者の青年は、齢523歳になる疫病神が骨休めのため、村はずれの砂湯に毎夜入ることを知る。
 二人は疫病神を退治すべくある作戦を立てるのだが…」

 そのスジでは(多分)人気の高い作品のようです。(注1)
 疫病神の巻き起こす「妙チクリン」な災難の数々がやはり印象的なためでありましょう。
 個人的には、後期の代表作かつ人気作の「悪魔の招待状」(立風書房)と似たような手触りを感じます。
 相変わらず荒唐無稽極まりない内容ですが、それでも、ここまで面白いというのは、スゴ過ぎます。

・注1
 イヌダハジメ氏(aka キクタヒロシ氏)による同人誌「いばら美喜のホームランコミックスがなんとなくわかる本」(兎目書房)の限定付録に、この作品のストーリーを詳しく述べた小冊子があります。
 興味のある方はどうぞ…とお勧めしたいのはやまやまなのですが、この小冊子と「疫病神」の貸本、どちらが入手しやすいのだろう…?

・備考
 カバーに擦れや小口に若干のシミ、また、背表紙の上部に何かにぶつけたような歪みがあるものの、時代を考えれば、まあまあの美品。デッドストック?

2016年8月18日 ページ作成・執筆
 

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