西たけろう「地獄帰り」(220円)

「東京のある中学校。
 谷サトルという生徒が行方不明になり、放課後の部活動も全て中止になる。
 牧内のり子は、谷サトルと同じ美術部であり、親友でもあった。
 のり子は、完成間近の絵を仕上げるために、先生の許可を得て、美術室に居残る。
 絵は美術室内を描いたもので、ようやく完成して、帰る支度をする。
 その時、谷サトルのつくった粘土細工の埴輪の人形が背後からのり子に襲い掛かる。
 首を絞められ、のり子は粘土保存庫の箱に頭から突っ込むが、平静を取り戻した時には、埴輪の人形は影も形もなかった。
 気味悪く思い、のり子は帰宅するが、母親も父親もどこかおかしい。
 町もいつもと様子が全く違い、わけのわからないことばかり。
 翌日、のり子は学校に行くが、教室にいる先生も生徒も一言も喋らない。
 おかしな雰囲気の中、教室の片隅にずぶ濡れの谷サトルの姿があった…」

 ストーリーがどうのこうのよりも、巻末の「タケロウノート」のたった一ページの方が遥かにインパクトあります。
 故・やなせたかし先生が週刊朝日の懸賞漫画に入選した時の言「僕はこれで本当のマンガ家になれた様な気がするのです」に対して、「じゃあ いままで一体なんだったの?」と皮肉り、「漫画主義一号、二号」の「佐藤まさあき論」に吉本隆明を引っ張り出したこと(注1)に「ハッタリ」と毒づいております。
 熱い人だったんでしょうね…西先生って…。

・注1
 このあたりの詳細は全くわかりませんので、あしからず。

・備考
 カバー貼り付け。カバー、上部に破れあり、また、背表紙上部あたりに欠損。巻末に貸出票貼り付け。

平成27年10月20日 ページ作成・執筆

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