月宮よしと「異説怪猫伝」(200円)
「九州佐賀の太守は竜造寺家であったが、秀吉により、武将、鍋島直茂が佐賀の国政を後見するようになる。
慶長六年(1601年)、竜造寺に代わり、直茂は佐賀の領主となる。
竜造寺家の又一郎は盲目でありながら、竜造寺家の再興を図り、二十歳の頃、鍋島藩に仕える身となる。
彼の主な御役目は鍋島光茂(鍋島直茂の息子)の碁の相手。
ある日、城に出かけようとすると、飼い猫のコマが袴を噛んで放そうとしない。
このコマは竜造寺家に先々代からいる猫で、老齢七十歳、体長二尺の上、尾が九つに分かれていた。
又一郎はコマを引き離して登城し、光茂と碁の勝負をする。
盲目故に全く手加減せず、光茂はブチ切れて、又一郎を斬殺。
その死体を井戸に捨てるも、コマが又一郎の母親のもとに彼の生首を運んでくる。
又一郎の母親は、コマに恨みを晴らしてくれるよう頼み、自害。
以後、光茂は又一郎の亡霊に悩まされるようになる。
ある夜、気晴らしに夜桜の宴を催すが、灯りが消えた間に、光茂が目を付けた踊り子が惨死する。
それはコマの仕業であった。
左手を切り落とされながらも、コマは逃げ、その後、忠臣の母や妻、殿の愛妾が次々と殺される。
光茂はますます狂暴性を帯びていくが、お豊の方が来た時が最も激しい。
家臣達はお豊の方への不審を深めていくが…」
有名な「鍋島の化け猫」ものです。
ただ「異説」と銘打ってあるだけあって、怪猫の解釈はちょっぴり斬新かも。
この作品での解釈は、怪猫を飼っているうちに、自分を猫だと思い込むようになった妾の犯行ということになっております。(どこか無理がある気がします。)
んで、ラストは「鍋島家は改易をまぬがれ、末代までもつづいたのである」。
う〜ん、竜造寺家が不憫だぞ。
・備考
ビニールカバー剥がし痕ひどし。カバー痛み&補修あり。糸綴じ。本文、切れや汚れ、シミ多し。後ろの遊び紙、貼り付き。
2022年9月22日 ページ作成・執筆