西たけろう「私・殺される」(220円)
「美術学校の制作に励んでいた野川ミチは、突然、自分の部屋に女の死体を発見する。
途方に暮れたミチは、友人の一条宏から聞いた無人の寺のことを思い出す。
雨の降る夜、死体をその寺に運び、墓場に埋めるが、無人のはずなのに、住職らしき(注1)中年の男性が墓場を訪れる。
ミチは慌てて、寺に身を隠すが、大勢の人がやって来るような気配がある。
その時、地下室の入り口を見つけ、そこへ入り込む。
地下室には、鏡とロウソクがあり、ロウソクに灯りを灯し、ミチはほとぼりが冷めるのを待つ。
そこには季節外れの蚊がいて、ミチは蚊を叩き潰す。
が、その蚊は何故か血を吸っていて、その血が手の平から取れない。
血を取ろうと右手をゴシゴシこすっている時、ミチは鏡の中に人間の手が幾つも映っているのに気が付く。
驚いて、その場から逃げ出すが、この時以来、ミチの右手が腐り始めるのだった。
一体、どういうワケなのだろうか…?」
恐らく、雑誌掲載された作品なのでしょうが、古賀新一先生のマンガばりに、ワケのわからない展開が怒涛の如く、繰り広げられます。
結末も納得できるような、できないような…。
読後感はまさしく、末尾の言葉「世の中には不思議なこともあるものだ」です。
とは言うものの、本格的なオカルトものがない時代のオカルト作品ですので、そこは高く評価すべきだと思います。
・注1
この文章を執筆中、「じゅうしょくらしき」を変換すると、「住所倉敷」と変換されました。
誤変換については、本も何冊も出ておりますが、いざ我が身に起こってみると、日本語の奥深さに今更ながら感じ入る次第であります。
・備考
ビニールカバー貼り付け、また、そのためによる表紙の歪み。糸綴じあり。p40ぐらいまで水濡れ痕あり(冒頭のカラーページにかかっているのが悲しい…)。前の遊び紙、折れあり。巻末に、貸本店のスタンプあり。
平成27年10月10日 ページ作成・執筆