佐藤よしろう「さらわれた少女」(220円)

「受験勉強のため、一郎は、源吉の住む島を訪れる。
 源吉は以前、彼の家の下男をしており、今は故郷の島で漁師を営んでいた。
 一郎は源吉の家に泊まるが、源吉の孫娘、由美は一郎のことが気になって仕方がない。
 彼が島に着いた初日から、若い娘が行方不明になる事件が起きる。
 彼女で二人目で、村中総出で探したものの、発見には至らず、村の占い師、鬼造は神隠しだと告げる。
 翌日、一郎は釣り船を海に出し、一人でのんびり過ごす。
 ところが、急なしけに襲われ、どうにか辿り着いた陸地に、別荘らしき家が目に入る
 その家には、顔の大半を包帯で覆った娘、恵と、婆やが二人住んでおり、一郎を温かく迎える。
 一郎は、彼女の包帯を大して気にせず、二人はすっかり意気投合、また別荘に寄ることを約束して、辞去する。
 二日後、別荘に立ち寄った一郎は、恵から彼女の家庭について聞く。
 彼女の父は医学博士で、島の向こうにある蛇島に研究所を建てて、何やら研究しているらしい。
 恵は三日目に包帯が取れるので、それまで島にいてくれるよう、一郎に懇願する。
 しかし、一郎が帰宅すると、由美が神隠しにあったと源吉から知らされる。
 更に、一郎が島にいる限り、神隠しが続くと、鬼造は宣告する。
 鬼造の占いに不審を抱いた一郎は、彼が別荘の出入りすることと関係があると見て、源吉と共に蛇島に渡るのだが…」

 こう言ったら元も子もありませんが、あまり面白くないです。
 詰まる所、「顔のない眼」なんです。
 んで、このテーマを扱うなら、あつたゆりこ先生の「ひき裂かれた顔」までやれとは言いませんが、グロ/残酷描写が見せ場の一つになるでしょう。
 ですが、この作品、しょぼしょぼです。
 グロ/残酷描写はほとんどなく、ラストで明らかになる、娘の顔の傷痕の描写も大したことありません。
 まあ、何にでも「グロ/残酷描写」を求める私にも問題があるのかもしれませんが、やはり残念な内容です。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。前後の遊び紙に書き込みあり。前の遊び紙、下半分欠損。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2017年9月1日 ページ作成・執筆
 

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